DREAM〜暗殺教室短編〜
□Song for you
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『〜♪』
悠「ホント歌うの好きだな〜、名無しは。」
2人きりの帰り道。
俺は笑いながらそう言った。
悠「俺、名無しの歌声、好きだよ。」
『あ…ありがとう///』
バイトをしている事がバレて、E組行きが決定したという境遇が似ている事から名無しとは仲良くなった。
ある日の放課後、校舎裏で歌っている名無しを見て、好きになって…もうすぐ付き合って半年だ。
『じゃあまた明日ね。』
ニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべて小さく手を振る名無しに、俺も手を振り返した。
殺「えー、今日の音楽の授業は歌のテストです。」
殺せんせーの一言に皆は大ブーイング。
殺「はいはい、静かに!曲は…ラブソングが良いですかねぇ…ヌルフフフ!」
…嘘だろ?
皆のブーイングも一層大きくなる。
莉「ハァ…まず始めに誰行く〜?」
中村は殺せんせーを説得するよりも早く終わらせる事を選んだらしい。
『…はいっ!///』
カ「え、名無し!?」
茅野の声に皆が名無しを見た。
殺「おやおや、名無しさんが一番ですか?珍しいですね〜。」
確かにいつも大人しめな名無しが挙手をするとは、珍しい。
『あ…えと…ピアノ使っても良いですか…?///』
殺「えぇ、構いませんよ。」
『じゃあ…///』
名無しの両手が鍵盤の上を綺麗に舞う。ビッチ先生にもひけを取らない演奏だ。
初めは静かにしっとりと、サビに近づくにつれて、次第にアップテンポになっていく。
名無しのテストの結果をまとめると…全員が言葉を失うくらい上手かった。
伴奏が終わって、名無しがピアノの椅子から立ち上がった。
瞬間、名無しと目が合って…名無しが顔を赤くしながらはにかんだ。
陽「名無しちゃん、上手だったよ〜!」
『ありがとう///』
業「…で?名無しちゃんは誰に向けてラブソング歌ってた訳〜?」
ニヤニヤと名無しに尋ねる赤羽。皆も俺の方を見ている。
『…っ…///』
名無しと俺は顔が真っ赤になった。
メ「はいはい、イチャつかないでね。」
そして帰り道…。
『あのね?歌のテスト…磯貝くんが私の歌声、好きって言ってくれて嬉しかったから、磯貝くんの為に歌ったんだ///』
悠「!?…ん。素敵でした///」
俺の為に歌ってくれた名無しに思わずキスをしてしまった。
次の日、皆にバッチリ冷やかされたのは言うまでもない。