DREAM〜弱ペダ短編〜

□Keep waiting
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『Hello!』

裕「ショ!?」





ここは、イギリス…だよな?

しかしインターホンを再度見てみると、やはり名無しが居る。

『裕介〜、開けて〜。』





とりあえず名無しをリビングに入れた。

裕「何で名無しがここに居るんショ?」

『日本は昨日からシルバーウィークなの。』

裕「…ショオ…。」

だからって普通イギリスまで飛んでくるか?

『で、久々に裕介に会いに来た。』

会いたかったよ、と名無しが眉を下げて笑う。
この時、名無しに寂しい思いをさせてしまっていたのだと気付いた。
電話や手紙でのやり取りはしていたが、直接会う事は出来なかったからだろう。

裕「…なかなか帰れなくて悪かったショ。」

そう言って優しく名無しを抱き締めた。

『大丈夫!裕介はイギリスで頑張ってるんだもん。』

オレの胸に顔を埋めながら名無しが少しだけ震えた声でそう言った。

自分が情けなくなった。
大事な人を泣かせてしまっている。

裕「…名無し。」

『どうしたの?』

名無しは顔を上げずに返事だけを返した。

裕「…オレはイギリスにいるから、なかなか日本には帰れない。それはこの先数年変わらないっショ。」

『…うん…。』

裕「だから…"待っていろ"とは言えない。名無しを縛るだけの約束になっちまうからな。」

『そ、そんな事…!』

裕「でも…もし待っていてくれるなら、オレが日本に帰った時に…結婚して欲しい…ショ。」

言い終えてから、名無しを抱き締める腕に力を込めた。

本当は…ずっと一緒に居たいっショ…。
でも今はそれが叶わないから、不確かな未来に懸けてみたいんショ。

裕「…名無し?」

ずっと黙ったままの名無し。
肩が震えてるし、怒ってるショ!?

『…私…ずっと待ってる…!』

裕「!!」

『裕介が…日本に帰って来るまで…。』

そう言いながら上目遣いで顔を上げた名無しは、泣いていた。

『その時が待ち遠しいな。』

裕「オレも…ショ。」










尽「うむ!名無しちゃん、ウェディングドレス似合っているぞ!」

『本当?』

坂「はい!巻島さんもきっとそう思いますよ!」

『だと良いんだけど…。』

ガチャ
『あ、裕介…!!』

いつも下ろされているタマムシ色の髪は後ろで結われていて、白いタキシードが背の高い裕介に似合っている。

『カッコいい…!』

裕「ショオ!?」

尽「ほら、巻ちゃんも!」

オレは自分の顔を右手で覆いながら、小さな声で言った。

裕「…キレイ…ショ。」





これからはもう待たなくて良い。
ずっと隣に居るから。
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