異世界の放浪者と
□夕暮れと別れ
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『し…シグレ…!?』
なんで生きてるんだ?とでも言いたげな表情をしているリヒトを横目に、俺は目の前の青年にニヤリと笑いかけた。
「どうだ?まだやるか?」
「っ……!」
青年は今までの表情を無くし、悔しそうに顔を歪めた。
……そもそも、どうして俺が生きているのかが理解できないようだ。
…流石にサラっと「不老不死」であることを明かすのはまずい。そうだな…
「…リヒトか…!」
あれま。勝手に自己簡潔したよ、こいつ←
でも、そうした方がいいかもな……
まあ、それでもしもリヒトを狙うようであれば…
俺は容赦しない。
「ああ。さっき、お前をブッ飛ばした時の術の力でな。」
「このっ…」
「おっと、動くなよ?今度はお前が死ぬ番になるぜ?」
そう言いながら、更に刀を青年の首に近づける。少しでも動けば切れてしまいそうな距離だ。
「…フン…ボクに情けをかけるの?」
「…ただの気まぐれさ。」
「殺さなかったこと、後で後悔するよ?」
明らかに窮地であるのに青年は笑った。
……「狂気」のせいか。そうじゃなきゃ、こんな状態で笑える訳がない。
それに……
俺が意識を取り戻したのは殺されて数分後。
その時、会話が聞こえてきた。
―…「いいよ?別に逃げたって。……でもねー、キミが逃げればボクの計画は水の泡。それじゃあ困るんだよね〜」
“ボクの計画”
それが妙に気になる。というか、何か…引っ掛かるんだ。
その“計画”を今コイツを尋問した所で、素直に吐くとは思えない。
だから、今は殺さない。
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