異世界の放浪者と

□封じられた"力"
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――時雨が青年と話していた時


「リヒト、大丈夫?」

『っ…ああ。でも、足が…』

リヒトの足枷には術式が浮かび、彼を"封印"していた。

「封印の術式……」

普通の解除術では解けない。術式に浮かぶ文字を見て、フランはそう察した。


『くそっ……!』

どうにかして動こうとするリヒトだか、そうする度に、術式は彼の足だけではなく、身体全体を蝕んでいき、呻き声をあげた。

「っ…!動いちゃダメ!今、術を解くから…!!」

慌てて足枷に手をかざし、精神を研ぎ澄ます。

「………。」

…が、手を下ろし、なにか思い詰めたような表情をして俯いてしまった。

『……どうした?』

「わたし…やっぱり、自信がないよ…」

『え……なんでなんだ?』

次のフランの言葉に、リヒトは目を見開く。




「……だって…わたし…忌み子みたいな存在だから…」
















































『…自分が忌み子だから、誰かを助けられない……そう思ってんだろ?』

リヒトが言ったことにフランは驚き、思わず顔をあげた。

「え?なんでそれを……」

『オレも同じだからさ。』


だって、それが"鬼の子"のリヒトなのだから。と続けた。


『オレに近づいた人達は皆…不幸な目に遭った。…それが…命の恩人の人でも。』

「………」


『今もまた、そうなろうとしている。……でもよ、』

彼の青い瞳がフランを映す。
リヒトは彼女を、まるで昔の自分に語るように言葉を紡いだ。


『オレは、少しでも抗ってやる。そう決めたんだ。
 助けようとした人に不幸が降りかかろうとするなら、それを振り払う…ってな。』


「……!」

何かに気がついたのか、ハッとした表情でフランはリヒトを見て、そして頷く。
彼女の顔には、自信に溢れていた。
まだ僅かに不安が残っていたが、気力を取り戻したようだ。

そして、再び足枷に手をかざし、詠唱を始める。

「―――…解くのは全て、禁術による全ての解放を!《ディスペル・レスト》!!」


赤い魔方陣が浮かび上がり、足枷に浮かんでいた術式は、糸が解けるように消え、枷にヒビが入り粉々に砕け散った。


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