異世界の放浪者と
□灰色の青年
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「さてと…」
例の神殿近くに到着。そしてすぐに街へ向かった。
「時雨っ…!」
「ついてこい、フラン!」
レディアの予言めいた言葉もあり嫌な予感がする。
フランの腕を掴み俺は走り出した。
◆
街の中は妙な感じがした。なんて言うか…重苦しいって感じ。暗雲が立ちこめているのもあるのか、街の中の人達の活気とかも前に来た時より薄れている気がした。
「…なんだか…暗いね。」
「ああ。」
どこに向かうべきか。なんとなくだが…リリアの所…そんな気がした。
…ぶっちゃけ、リリアの家…アルバニア家の屋敷がどこにあるのかなんて知らん。←
まあ、その辺の通行人とかに聞けばいいだろ…
「―…ッ!?」
ぞわっと悪寒がした。…しかも…かなりヤバそうな…
「時雨…?」
「…こっちだ。」
「え?でもそっちは路地…」
戸惑うフランの腕を引き、路地に入り俺が身を屈めるとフランも同じように屈んだ。
「フラン、結界を張ってくれ。」
「え…いいけど…?」
まだ戸惑いつつも赤い術式…"禁術の結界"を展開させ、俺とフランを結界が包む。
その直後。
…ゴオォッ!!
暴風が吹き、街道にあったもの全てを吹っ飛ばした。
…同時に、赤い液体も飛び散る。
「……!」
ただの暴風じゃない…これは…"鎌鼬"か!?
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