異世界の放浪者と

□忌み子の青年
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神殿・内部

最初に見たときは廃棄寸前の神殿と思っていたが…そこまで内部は壊れていたりしてなかった。寧ろ小綺麗な方だ。
ひょっとすると、コイツの住み処なのかもしれない。なら、納得できるか。←
そう考えながらも彼は神殿の奥へ進んで行く。

どれくらい進んだのだろうか。かなり奥まで来たな…と思うと"鬼の子"は足を止めた。そして目の前にある扉のない牢獄へ入っていき、マッチで蝋燭に火をともした。蝋燭の火のおかげで漸く"鬼の子"の姿がわかった。
短い水色の髪、青い瞳。そして鎖のない足枷。
「……!」
俺が僅かに驚いたのを気づいたのか"鬼の子"は首を傾げ、メモ帳にペンを走らせる。

【どうかしたのか?】

「ぁ…いや。何でもねえよ。」
そう答えると今度は俺の顔をじっと見つめてくる。…何だ?
またメモ帳に書き出しそれを見せてきた。

【傷、平気か?】

ああ、成る程な。さっきの戦いで頬に掠ったんだっけ。まあ…俺の回復力は異常なくらい早いからな。あの程度の傷は数分で治る。
「平気だ。アンタこそ大丈夫か?」
少し戸惑った表情を浮かべながらまたメモ帳に書き込む。

【オレも平気だ。この体にされてから回復が早いから。あんたは女だろ?顔に傷を残すのはどうかと思う。】

「…いつ気づいた。」

【ついさっき。】

意外と鋭いなこいつ。←






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