異世界の放浪者と

□いざ異世界へ
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定められた運命なのかは知らんが、薄々こうなると覚悟はしていた。
…まあ、異世界に行く度覚悟はいつもしてるけどな。←

どっちにしろ、俺にしか出来ない事だ。行くしか選択肢はない。

「……時雨、行っちゃうの?」
聞き慣れた少年の声が後ろから聞こえた。振り返るとそこには金髪と黒い翼を持つ少年、レディアが悲しそうな瞳で見つめてきていた。
…見かけによらず、まだ少し幼いところがあるレディア。
ともかく、返す言葉をなんとか探す。
「……ああ。仕方ない事なんだよレディア。」
いつもと同じように接する。でもやはり、どこか不自然でバレそうだ。
「ちゃんと帰ってくるよね…?」
目を若干潤ませながら子首をかしげる。…意外と女子力高いなコイツ…←
いや、レディアは素でやっているんだろうけどさ。本気で俺の事…心配してる……心の中ではそういった言葉が大量に渦巻いているのがわかる。
ふっと笑いながらポンポンと軽くレディアの頭を叩くと少し驚いた表情をして顔をあげた。
「大丈夫だよ。また、いつも通り帰ってくるからさ」
俺がそう言うと花が咲いたようにぱぁっと表情が明るくなる。
「本当に?」
「ああ。本当さ」
その笑顔につられて思わずこちらも笑顔になった。




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