異世界の放浪者と

□違和感は…
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「……で、何でしょうか?時雨」
俺に殴られた後頭部と腹を擦りながら若干涙目でユウサリが切り出してきた。
「ああ。……あくまでも、なんだがな…"祖体"に何かあるかもしれないヤツがいるんだ。しかも、そいつとは何度か会っている。」
「つまり、知り合いの内にいるという事ですか?」
「そういう事だ。」

それは勘とかじゃなく、根拠もある。
俺が異世界に渡って、"そいつ"にあたる人物に会った時。"そいつ"はどこの世界でも必ず一度過ちや道を踏み外す。
まして、高確率で暗殺者(アサシン)である事が多い。その為、各世界での事件を解決すべき重要人物を上司とかの命令で"そいつ"が重要人物を消そうとしている事があった。
…まあ、良心とか、その重要人物の優しさに触れて、俺が知ってる限り成功した事はないがな。←
ようは"そいつ"は暗殺者に向いてない。向いてないのに何かを守るためか、何か吹き込まれたり、過去の弱い自分を越えようとしているせいなのか…暗殺者になったみたいだな。……それが間違った道だと知ったうえで。
でも、結局は暗殺者にはあるまじき「情に弱い」ということで上手くいかず、やめていってしまう。
…俺はそれが妙に感じたんだ。
何故、"祖体"のコピーであるヤツが各世界でほぼ全く同じ過ちをするのか?
そんな風になるのは俺のように歪んだ輪廻の元に生まれるか、"祖体"に何がある…その二つしかないハズだ。



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