冒険録

□双子と双子
1ページ/13ページ


「え……?」

「だから、安心してもいいのよ!スティア!」

 目の前にいるツキノはにこやかに言う。

 何があったのかというと、月詠について少し聞いていたんだ。
 月詠とツキノは双子の兄妹だから…色々知っているだろうと思って、聞いた。予想は当たり、ツキノも快く教えてくれた。

「まあ…月詠兄はちょっと不器用なのよ。人とどう接していいか、よくわからないみたいなのよねー…。だから、初対面だとああいう反応しかないのよ。」

 だからそんなに気にしなくてもいいの!と明るく答えるツキノ。…そうだったのか…。

「で、仲良くなれば表情は多くなってくるから!今は殆どポーカーフェイスだけどね、大丈夫よ!」

「お…おおう…」

 一体何なんだろうか、それは。←

「私が見た限りだと……スティアとは大丈夫だと思うよ?この間もいいコンビネーションだったし…」

「あれは……その。無我夢中だったし…偶然だよ、きっと…」

 本当にあの時は無我夢中でやっていた。息を合わせようとか、タイミングを図ったりしなかったし…

「いや、あれは才能だと思う。」

「えー……って月詠!?」

 いつの間にかツキノの隣にやって来ていた。気づかなかった…←

 しかも心なしか、嬉しそうな……

「無意識であそこまで出来るとなれば、さらに磨けばよくなるハズだ。…自信を持ってもいい。」

「え、え?」

「そういうわけだ、ここは一つ手合わせを……」

 ゆらりと立ち上がり、刀の柄に手を添えた。って…

「それが狙いかーーーーーッ!?」

 思わずそう叫びながらツッコミを入れた。























「冗談だ。」

 …相変わらず無表情でそう言った。

「なっ……」

 呆気なく答えられ、ずっこけた。

「……ははっ」

 笑い声が聞こえ、顔をあげると月詠が少しだけ笑っていた。

「あ……」

「月詠兄が笑った……」


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ