冒険録
□双子と双子
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「え……?」
「だから、安心してもいいのよ!スティア!」
目の前にいるツキノはにこやかに言う。
何があったのかというと、月詠について少し聞いていたんだ。
月詠とツキノは双子の兄妹だから…色々知っているだろうと思って、聞いた。予想は当たり、ツキノも快く教えてくれた。
「まあ…月詠兄はちょっと不器用なのよ。人とどう接していいか、よくわからないみたいなのよねー…。だから、初対面だとああいう反応しかないのよ。」
だからそんなに気にしなくてもいいの!と明るく答えるツキノ。…そうだったのか…。
「で、仲良くなれば表情は多くなってくるから!今は殆どポーカーフェイスだけどね、大丈夫よ!」
「お…おおう…」
一体何なんだろうか、それは。←
「私が見た限りだと……スティアとは大丈夫だと思うよ?この間もいいコンビネーションだったし…」
「あれは……その。無我夢中だったし…偶然だよ、きっと…」
本当にあの時は無我夢中でやっていた。息を合わせようとか、タイミングを図ったりしなかったし…
「いや、あれは才能だと思う。」
「えー……って月詠!?」
いつの間にかツキノの隣にやって来ていた。気づかなかった…←
しかも心なしか、嬉しそうな……
「無意識であそこまで出来るとなれば、さらに磨けばよくなるハズだ。…自信を持ってもいい。」
「え、え?」
「そういうわけだ、ここは一つ手合わせを……」
ゆらりと立ち上がり、刀の柄に手を添えた。って…
「それが狙いかーーーーーッ!?」
思わずそう叫びながらツッコミを入れた。
「冗談だ。」
…相変わらず無表情でそう言った。
「なっ……」
呆気なく答えられ、ずっこけた。
「……ははっ」
笑い声が聞こえ、顔をあげると月詠が少しだけ笑っていた。
「あ……」
「月詠兄が笑った……」
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