異世界の放浪者と

□"力"――…それは、
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「くらえっ!《閃光突(せんこうとつ)》!」


青年に向かってフランが魔槍を閃光の如く連続で突く。
そして、最後に重い突きを入れ、青年がよろめく。

「うぐ……っ」


それを見逃さなかったフランがリヒトに向かって叫んだ。

「リヒト、このまま押し切るよ!」


『わかってる!《襲雨連牙(しゅううれんが)》!』


魔力で作った大量の短剣に、光の魔術をかけた物を幾つも放つ。

「くっ……!」


青年が闇の槍を作り上げ、それで振り払うが、防ぎ切れなかった短剣が青年を掠めていった。
それを見て、青年は何かブツブツと呟いた。

「この力、この魔力……―――リヒト=ルーシェトスっ……貴様ああああああああぁぁぁ!!」


そしていきなり声を荒らげ、幾つもの小さな闇の刃を放った。


「『!』」

二人は咄嗟に横に跳んで回避した。だが、青年の攻撃は止まない。


「っ…なんなのよ…!」

『……くっ』

リヒトとフランは背中を預けるようにして構え、彼女が詠唱を始めた。

「新月の力よ、今此処に矢となれ、刃となれ《新月ノ刃》!」

新月を思わせる球体が現れ、そこから真っ黒な刃が青年に向かって飛んでいく。


「…邪魔を、するなああああああああああああああああああああああッ!!」


自分に向かってくる刃を振り払うように、槍を振り回す。
だが、それはかなり滅茶苦茶。更には魔力も込められていたのか、たまに衝撃波が放たれ、二人が回避するのには厄介なものになった。

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