異世界の放浪者と

□"鬼の子"と少女の正体
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「ふぅ…やるね、キミ。」

「得体の知れないヤツには言われたくないな。」

刀を青年に向け、睨み付ける。相変わらず、青年は笑みを浮かべていた。
そして、すっと自分の口の前に指をたて、目を細めながら口を開いた。

「ねぇ、リヒトが何なのか知りたいでしょ?」

「………。」

別に気にならない、と言ったら嘘になる。
だが、コイツが本当のことを知っているというのも胡散臭い。

「信用しなくても構わないよー。まあ…それが嘘か真実かを決めるのはキミ次第かなー」


「―…わかった。話を聞こう。」

俺が言うと、青年は短剣を仕舞った。…相手が武器を仕舞ったのに、こちらが出したままじゃ、フェアじゃない。そんな訳で俺も刀を鞘に納めた。


「リヒトが忌み子と呼ばれた理由は知っているよね?」

「ああ。」

「そう。なら話が早いなー。…リヒトが忌み子と呼ばれた理由、それは"彼に近づいた者は不幸になる"ってやつに近い。だからボクは彼を"疫病神だ"って言ったのさ」

「『ボクは』だと…?」

そういえば…リリアから聞いた話で…


―――不審に思った母親は街一番の占い師の所を訪ねた。

占い師からはこう告げられた



「水色の髪を持つ少年は疫病神だ」と―――


「まさか…その時の占い師は…」

そう言うと、青年はニコリと笑った。

「そう。信じられないかもしれないけど、ボクなんだよね〜」

ということは…200年前、コイツは占い師だったのか?

(…いや、多分違うな。)

リヒトの姿をしているといい、200年前に"疫病神だ"と告げたといい……明らかに人間じゃ出来ない。
それに、コイツと一戦交えたから分かることと言えば……「人間技を越えている」という所だ。
となると…多分コイツ、人間じゃない。…人間じゃないなら、何なのかはわからないが。←

まあ…今は話の続きが先か。

「それで?」

「キミはどう思う?確かにリヒトに近づいた者は不幸な目に遭ったけど、変だと思わない?」

「確かに…な。」

本当に疫病神とかの生まれ変わりなら、それに近い魔力や能力、姿をするはず。まあ…仮の姿とかあるかもしれないが…。まあ、俺も神だし、そういうのは見破れる。

だが、リヒトからはそういうのを感じなかった。


「疫病神とかの類いではない。とすれば…わかるよね?」

「……まさか!?」

「あはは!わかった?どのみち、ボクが賢者に姿を変えて、永遠の命を与えなくても、リヒトは生きていけるんだよね〜」

…リヒトの話で言ってた賢者もコイツかよ…


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