異世界の放浪者と
□いざ異世界へ
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俺は溜め息をつきながらフランの頭を撫でた。
なんでかって?そりゃ…フランの心の中が寂しがっているから。
「えへへ♪」
「よかったね〜フーたん!」
「うん!」
無邪気にフランは笑う。…昔、出会ったばかりじゃこんな表情…出さなかったよな……
っと、思わず感傷に触れちまった。
「んで…しぐ。行くんだね?」
さっきまでへらへらしていた表情が消え、真剣な表情で訊いてきたリット。
「…ああ。」
「それが…貴女役目だからですか…」
いつの間にかユウサリもいて、その後ろには蒼夜とレディアも。
「……何だよみんなして…」
「いつも時雨は一人で行っちゃうからさ…」
「たまには良いだろう?」
「『おかえり』ばかりじゃねぇー…」
「みんなで見送りたい!」
「…そういう訳なんです。時雨」
ああ。確かに。
俺はいつも一人で異世界に行き
一人で帰ってくる
最初のうちは寂しかったが慣れてしまって
寧ろ"当然"になっていた
「……悪くは…ないな。こういうの…」
『いってらっしゃい』
みんなの声に頷き俺は術式を展開させた。
温かい見送り
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