vampire(短編A)
□放課後の図書室で
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放課後…
それはわたしにとって特別な時間だったりする。
『ふー。今日も疲れたなぁ』
私は図書委員会に所属している。
そして委員長という大役を任された。元々この学校の図書室利用者数は異常に少ない。とくに放課後なんてほとんどだれも来ないのだ。
最初のうちはどうすれば利用者が増えるだろうかと考えていたが、今では、利用者が少ないことに内心感謝している。
そう思い始めた原因は…。
レイジ「失礼します」
『(あ!きた)』
そう。この逆巻レイジ先輩が原因だ。
レ「新刊がはいったと聞いたので」
『あ、それはあっちの棚です』
レ「それぐらいわかりますよ」
『ですよね〜』
逆巻レイジ先輩はこの学校で唯一本について語ることができる先輩だ。
昔から私は本ばかり読みふけっていていつの間にか回りからは奇妙な女だとかキモい女だとかと言われるようになってしまった。そのせいで自信を失い、もう本は読むべきではないのだろうかと
自信を失いかけていたとき、この人があらわれた。
そして
“そこらへんでギャアギャア騒いでいる女性よりは本を読んでいるあなたのほうがよほどマシだ”
と言ってくれたのだ。今思い返せば、微妙なテンションになるのだが、そのおかげで私は救われたのだ。
『ふふ…』
レイジ「なんですか突然。」
『いえなんでも』
レ「なんか不快ですね。」
『気にしないでください。』
レ「それよりこの間借りた本をまた借りたいのですがどこにあるのかわかりますか」
『ああ。あれですね。いま探します』
レ「お願いします」
図書室にはパソコンを操作するカチカチという音だけが響く。
『あー、あれ今借りられてますね』
レ「そうですか。仕方ありません。それよりこの本読んでみませんか?」
ドキ
『いいんですか?』
レ「ええ。あなたならこの本の価値がわかるかと。」