火之迦具土神

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「なぁ…アニキどうしたんだ?」
「…さ…さぁ」

自室で休んだかと思えばまた暁丸の所へ戻り、黙々と作業を始める

「カグツチさんの事で何かあったんですか?」

仲間が思い切って口を開けば元親は手を止める

「カグツチは…俺に守って欲しかったんだ…それを俺は守れなかった
さっさと毛利なんか潰してさっさと助けに行かねぇと!!」

「…アニキ…」

こんなに思い詰めた顔は初めてだった

「…それなら…尚更!!今すぐ休んでください!!」

「あ?」

「暁丸が完成してもアニキがそんなんじゃダメです!!俺達が作業する間にしっかり休んでてください!!」

「てめぇら…」

元親はずっと寝ずに作業をしていたため仲間は皆心配していた

「…わかった。頼んだぜ」

暁丸を託し、しばし睡眠をとることにした







「…大将」

曇り空から雨雲に変わってきた為、カグツチを連れて城へ帰った。
次の朝、朝露に草が濡れている頃、部下から毛利と長宗我部の動向が伝えられた

「…佐助」

「どうやら俺様達、毛利に駒にされちゃったみたい」

「なんと?!」

部下から伝えられた内容は
長宗我部はカラクリを順調に仕上げているがカグツチが居なくなった事により元親を始め、軍全体の士気が落ちている

毛利はその長宗我部を攻め込む準備がほぼ整っており、いつ開戦してもおかしくない

「…それとさ、武田までカグツチちゃんの噂を流したのは毛利の旦那みたいなんだ」

「…何故…毛利殿が?」

「長宗我部の旦那がカグツチちゃんに入れ込んでるのを知って、同じ火を使う真田の大将の耳に入るように噂を流し、俺様達が拐うよう仕向けたってわけ」

「…火を扱うならば雑賀殿でもよかったのでは…?」

「雑賀は長宗我部の旦那と仲がいい。このいつでも攻め込める状況を作るには真田の旦那を使うのが一番簡単だったんだ」

佐助が言い終わると幸村は畳を殴り俯く

「…では、毛利殿が長宗我部殿を簡単に動かせないようにすると言っていたのは…」

「たぶん…武田へ行けばその隙に攻めるとでも言ったんだろうね」

「力を求めただけの某は…カグツチ殿を拐い長宗我部殿を苦しめていたのか…」

そうだね。と佐助が頷けば幸村は悟ったように立ち上がる

「佐助!瀬戸内へ行くぞ!!」

「…え?」

「某、カグツチ殿の言葉で目が覚めたでござる!!
力とは人に頼らず己で高めるもの!!
力欲しさに周りが見えずこの様な卑怯な事をした償い、自ら正さねば!!!」

「…そうだね。じゃあカグツチちゃんと準備するね」



うーん。カグツチちゃんの言葉の半分は理解してくれた…かな
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