火之迦具土神

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「アニキ、火之迦具土神って知ってますか?」

「ひのかぐつち?」

「名前は神話の神様らしいんですが本当に火の神様って言われる人が近くの島で奉られてるらしいですぜ」

「火の神様…ねぇ…」

大きな船の先端に立ち眼下に広がる瀬戸内海を眺める

西海の鬼と呼ばれる、長宗我部元親だ

「面白そうだな。行ってみるか!野郎共!!」

「「「アニキーー!!」」」

火のBASARAを使う元親はその火之迦具土神に会えば更に強い力が手に入るかもと考えていた


しばらく進めば本州から少しだけ離れて海にぽつんと浮く島が見えてくる

「着いたな!ちょっくら行ってくるぜ」

船から飛び降りれば島を包む真っ白な砂浜が出迎える

「いいところだな…」



少し歩けば赤い鳥居の並ぶ参道が見える

人が居ないのか波の音しかしない
本当に火之迦具土神はいるのだろうか?

長い参道を抜ければ島の頂上に着く

注連縄の巻いてある大きな木の影にこじんまりとした社がある。
賽銭箱の代わりに供え物が置いてあった

「やべ…」

お供え物を忘れてしまった。
近くを見ればミカンの木に実がなっている

周りを見渡し人が居ないのを確認すると一つもいでお供え物の台に置く

社の中を覗こうとしたが供え物の台からは数段の急な階段があり、その上を見ることは出来ない

やはり誰も居ないのか?

「強くなれますよーに!!」

手を合わせて頭を下げる


「わゎっ…」

何か声がしたと思えば盛大な音を立てて社の奥から人が落ちてきた

「だ…大丈夫か?!あんた!」

「痛てて…大丈夫です…参拝者ですか?」

元親の足元で見上げるその人間は女の子だった
紅色の髪の毛を身長より長く伸ばしている
肌も雪のように白い
目が見えないのか目は包帯でぐるぐる巻きにされている

それより何より……

「…何で…裸……」

「すいませんすいません!…お水に入ってて急いで出てきたら階段踏み外しちゃって!!」

今着替えますね!とささっと狩衣を着込むとちょこんとそこに正座する

「えっと、お店を始める方ですか?」

「あ…嫌……俺は火之迦具土神って野郎に用事で…」

目の前の出来事に戸惑い元親は呆気にとられている

「火之迦具土神はあたしですよ?」

「……………は?」

お互いに困惑している顔だ


火之迦具土神は…女…?
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