ugly duck

□05
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政宗は奥州へ発って2日。
早ければ明日には政宗にあえるだろうか
いい子にしてろと額に唇をつけられたのを思い出し赤くなる

「あたしに使えるかな…」

懐から装飾の美しい短刀を出す
護身用に、と政宗から手渡された
使わないのが一番だがこの世界では命は簡単に切り捨てられる


「杏ー」

会いたくない人が前触れもなくやってくる

「…何か用?」

「幸村も佐助も居なくて暇なの。城下行くからあんたも来て」

「…」
昔から言い出せば聞かない。
つくずく自分はお人好しだと思いながら仕方なく着いていくことにした

「…あんた本当に結婚するの?」

茶屋で団子を食べているといきなり聞いてくる

「そうみたい。何で」

「別に」

何なんだ本当に…

「食べたんだし出ようよ」

「ちょっと待って!もう少し話そうよ!」

桜は慌てて立ち上がろうとする杏の裾を引っ張る

「?簪見たいって言ったのはあんたでしょ」

「いいからいいから」

やけに周りを伺う桜を不審に思うと後頭部に鈍痛が走り目の前が真っ暗になった










「ーーーーーっ!!ーーーー!」

何だろ。声が聞こえる

「う…」
後頭部に残る痛みに耐えながら瞼をゆっくり開けるとそこには古そうな板張りの部屋と囲炉裏がある

「ちょっと!あたしまで縛れなんて言ってないんだけど!!」

みみにキンキンくる声に顔をしかめながら起き上がれば囲炉裏の脇で叫んでいる桜がいる

「…桜…ここどこ?」

「…知らない」

杏も桜も腕を縛られていて動けない

入り口の簾を上げて小汚ない男が2人入ってくると桜は声をあげる

「何であたしまで縛ってんのよ!」

「ああ?どっちかわからねぇからとりあえず縛ったんだよ」

「頼んだのはあたしの方!あっちの女さっさとやっちゃえばいいでしょ」

「桜、どうゆうこと?!」

「前にも言ったけどあたしよりあんたが幸せなんて許せない」

「なに…それ…」

ありえない。
気に入らないからってこの男とやれって?

「綺麗な肌だな」

着物の襟を引っ張られて胸元が大きく開く

「…っ」

肩を掴まれ痛みに顔を歪ませると男の手が止まる

「…何だ?これ」

懐に忍ばせておいた短刀が落ちる

漆塗の鞘に金で装飾が施されている

「これ…売ればすごい金になるんじゃ…」

余程金銭に飢えているのか男は短刀を持って出ていってしまう

「なんなのよこっちは金払ってるんだからやることやってから行けばいいのに…」

「あんた…………最低」
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