ugly duck

□02
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「すごい…」

馬舎へ行けばたくさんの馬が並んでいる

「このこ綺麗…」

光に当たれば青く光る綺麗な黒馬に駆け寄ると黒馬は嬉しそうに差し出した手に鼻を擦り寄せる

「いいだろこの馬」

「…………そーですね」

「その素っ気ないのなんとかならねぇか」

「あたし政宗さんに近寄りたくないです」

ぷいっと政宗のいない方に顔を向ける

「その近寄りたくない俺の馬を撫でてんのは誰だ」

「え?………嫌な飼い主で可哀想…」

「…おい」

いいからそろそろ出るぞ
黒馬の前にある木枠を抜いていく

「乗れよ」

「…一緒?」

黒馬一頭しか出ていない

「お前一人で乗れねぇだろ」

「…はい」

杏の手を握り軽々と自分の前に乗せる

「えっ手綱…」

馬に乗るなら必ず必要な手綱が…ない

「いくぞ」

「…っ」

いきなりすごいスピードで走り出した馬から落ちてしまいそうになる

「落とさねぇから捕まっとけ」

もう政宗にしがみつくしかない
早く止まって…
絶叫マシンが大の苦手な杏はもう泣きそうだった


「お前は俺に頼るしかねぇんだよ」
ざまぁみろと言わんばかりにやりと笑い呟く










「…止まった…」

「大丈夫か」

「吐きそう…………」

降りて落ち着くまでうずくまっていると心配そうに黒馬が鼻を寄せてくる

周りを見渡せば澄んで底が見えそうな広い池と近くに小川が流れている

ジ○リのもの○け姫で出そうな所だ

「綺麗…」

「気に入ったか」

「政宗さんがいなかったら…」

「ha!お前相当俺のこと嫌ってるな」

軽く言う政宗にぷちっと来た
もー無理だ

「もっと自分がしたこと考えなよ!」

黒馬も政宗も驚いている
色々溜まりすぎて政宗に詰め寄る

「そりゃ政宗さんにはいくらでも女がいるかも知れないけどこっちはすること全部初めてで痛いしまだ変な感覚残ってるしショックなのに政宗さんはどうでもいいみたいな態度だしもっと相手に思いやりみたいなの無いんですか?!
元の世界では何でもかんでも桜に真似されるしやりたいことも全部潰されるし彼氏も取られるし…」

「おい!ちょっとまて!」

「こっちはこっちで助かっても政宗さんもそんなんだし桜もあんなのだしもう嫌なんです!!」

言い切ると目の前ですごい水音がする

「…?」

詰め寄りすぎて政宗が池に落ちていた

「やってくれるじゃねぇか」

手貸せ。と言われて差し出すと体が一気に引かれる

「あッ…」

どぼーん



びしょ濡れの政宗の膝の間にびしょ濡れになった杏が呆然としている

政宗は笑いすぎて声が出ない

「もう……………やだ」

ぼろぼろと我慢していた涙が出る
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