龍神

□03
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「小十郎! 」

夕暮れの中城へ帰り小十郎を呼び止める

「政宗様…」

「…何で人間になってねぇか解ったぜ」

小十郎の顔が強張る

まぁ…そうなるよな。
自分が原因かもしれねぇ、嫌われたかもしれねぇと思うのが普通だろう

「酒でも飲みながら話すか」

「お持ちします」





満月が出ている為いつもより明るい縁側で胡座をかいていると小十郎は徳利と盃を置いて座る

自分の盃に酒が注がれると遠慮する小十郎を無視してもう一つの盃に酒を入れてやる

満月が映り込み揺れる酒を一献飲み干す

「小十郎」

「はっ」

「名前を嫁にしたい」

「………人間に…なれるのでしょうか」

少し俯く小十郎を横目に名前の事を話す

「お前の血と穢れで別れた後五年眠っていたらしい」

「…五年…ですか」

「Ah…三千参りはresetされちまったみてぇだ。五年経ち目覚めてからまた始めたみたいだが…あと三年程度だな」

「名前は…小十郎を恨んでいましたか」

小十郎の盃を持つ手に力が入る

「that's not, あいつはお前に出会えてよかったみたいだ」

「では…あの髪は…」

微かだが、小十郎の声には力が入っていない

「…死んだと思え。だとよ」

「…そうですか…」

「お前の律儀な性格をわかっていて迎えに来たのは予想してたみてぇだ。だが今回は自分が約束を違えた。あと三年待てばお前は二十八、自分を待たずに誰かと幸せになれと言いたかったみてぇだな」

「…元々は俺の過ち、気に病むな。お前の望み通りにする。とお伝え願えますか」

「ok」

小十郎が注いだ酒にはまた満月が映り込み美しく輝いていた



「政宗様、お伝えしておくことがございます」

「hmm……何だ?改まって」

「あと二年程度で輝宗様はご隠居なされるおつもりの様です」

「…何だと?」

盃から目線を小十郎に向けると何とも言えない表情をしている

「ご隠居なされれば家督は政宗様に移ります。これからの乱世を生き抜くため、準備が必要かと」

「hum………忙しくなりそうだな」

目線を盃に戻し一気に飲み干す

「小十郎はどこまでも政宗様の右目として着いて行きます」

「Ah…頼むぜ。小十郎」

小十郎に手を差し出せば大きな手でしっかりと掴み返す

どうせ目指すなら天下を目指す
奥州の筆頭になり天下を取り、名前を迎える

最高じゃねぇか
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