囚姫
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「名前、教えてくれねぇか?」
「…瑠歌」
目の前に片膝をついて座る元親に警戒しながら答えれば少し考え込む顔をする
「あんた、正室か何かか?」
「違う」
こんな狭くて暗い部屋に閉じ込めてるってことは誰にも見せたくないとゆう事か?
それにこの足枷…
「…何しに来たの」
「城攻め、と言えば解るか?」
「あたしを殺すの?」
「俺は女子供を巻き込む事はしねぇ」
大きな手を伸ばしてきた元親に身構えたがその手は頭に置かれた
「俺のところに来るか?」
「…あたしはここから出ちゃいけない」
「もうここの城主は居ない」
その言葉の意味がわからず瑠歌は首をかしげる
「お前の主は居ない。自由なんだ」
来いよ、と大きな手を差し出す
ここを出て本当に大丈夫なのか
本当に主様はいなくなったのか
こうやって来いと言われて手を出されたのは二回目だ
またこうなるかもしれない不安が拭えない訳ではない。
しかし元親と名乗るこの男は明らかにあの男とは違う
無意識に大きな手に自分の手が重なる
元親は少し微笑むと持っていた槍で足枷の鎖を切り、羽織っていただけの着物に簡単に帯をして瑠歌を抱き抱えた
カラクリの壁からゆっくりと出ると廊下に繋がっていた
何年ぶりかの外は眩しくて目が開けられなかった
「目がなれるまで無理して開けるなよ」
「…うん」
肩と足を抱く手に少し力が入る
その手は暖かかった