retaliation

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陸奥と奥州の境に位置する小さな村
決して裕福な村では無かったが皆が家族の様に過ごす良い村だった

目の前には死体の山と生まれ育った村の変わり果てた姿

急いで村外れの自宅へ行けば父が外で切り捨てられていた

「父様!!」

「綾…か…」

背中を切られ虫の息だ

「一体…何が…」

「…お前は……逃げろ……これ…を」

絶え絶えの息で腰から抜き取ったのは黒川の家紋の入った刀と脇差だった

「お前は…生き…延び…ろ……伊達…に」

「…と…さま…」

既に息をしていなかった

受け取った刀を持ち家へ入れば母も血を流し倒れていた

「母様!母様!!」

「綾…空を…おねが…ぃ」

うずくまった母が体を傾ければまだ三才の弟、空が眠っていた

「母様…」


ただ少し山菜取りに行っただけなのに。
昼間、皆と談笑した。
その後少し村を離れ夕暮れに戻ってくればこの有り様だった
誰が…こんなことを…

涙を堪えながら納屋から鍬を引っ張り出し深い穴を掘る
ずるずると父親と母親の体を穴へ引きずり下ろし、手を合唱させてから土を上から被せて固めていく

埋め立てた土の前で手を合わせる

「空を…立派に育てなきゃ…」

家の中に残っている食料を集め、空を連れて村を出る準備をする
最上の分家に当たるため、保護してもらえるかもしれない…
そう思い黒川の家紋が入った父の物をいくつか持ち、空を抱いて家を出る

「……!…………?…!」

誰だ…

さすがに空を連れて歩いては行けない為、村に馬が居ないか見てから発つことにしようと、村の中心へ戻ったが人の声がする

空が眠っているのを確認してからゆっくりと近付く

「しっかし筆頭も………よなー」

「どーすんだ……………は」

鎧を着た武士が二人、死体の山を前に話している
筆頭?誰のことだろう…?

しかし村を襲ったのは恐らくこいつらの軍だ。
見つかれば空共々殺されてしまうかもしれない
せめてどこの者かわかる手がかりは…………

足元へ焼け焦げた旗が見える
目を凝らしてみてみれば竹に雀の家紋

……伊達だ

父様の伊達の…という言葉は伊達にやられたと言うことか?

最上の血筋を母に持つ伊達が最上分家の黒川がいるこの村を…?
普通は考えられない…だが伊達政宗は非情な男と聞く。
それを考えればあり得ない話ではない

鎧の武士二人が遠退くのを確認し、もう一度旗を観に行けば確かにこれは伊達の旗だ。
ではさっきの筆頭というのはやはり伊達政宗…

旗を持つ手が震える

両親も幼なじみも皆無惨な姿になっている
許せない…




伊達政宗の首を取る
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