ugly duck

□06
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息苦しい…

はっとして目を開ければ政宗の覗き込む顔がある

「お前鼻つまめば起きるな」

「え?ここ……」

起き上がって見渡せば見慣れた部屋がある
床の間には刀が6本掛けられている

目の前には嬉しそうな顔の
「政宗さん…」

「どうした?」

「本物 ?」

政宗の顔や髪を触る

「手荒いskin sipだな」

「本物…」

涙がぼろぼろとこぼれ落ちる

「迎えに行くって言っただろ。桜も無事だ」

「もう…会えないかと…」

「安心しな」

政宗に抱き寄せられ頭を撫でられる
この感触が気付けば大好きになっていた


「失礼致します」

襖を見れば頬に傷のある見たことのない人が立っていた

「杏様、お目覚めですか」

「あ…はい」

誰?と思っていると政宗は俺の右目だと紹介してくれた

「杏様がどの様な方か見定めようと思いこちらまで政宗様と参りましたが…もう十分の様ですね」

「ha!だから言っただろ」

「見定める…?」

嫁に相応しいかを見定めるという意味だったそうだが、教養云々の前に身を呈して人を守ったという肝の据わった態度で十分だった様だ

「杏様、目覚められてすぐで申し訳ございませんが、杏様を奥州筆頭、伊達政宗様の奥方として迎え入れることとなりました。」

両拳を付き深く頭を下げる

「あの…堅苦しい言い方せずに普通に話して欲しいです…敬語も辞めていただけると…
あ、お城の方皆さんです…」

杏の言うことに小十郎はぽかんとする

「言った通りだろ」

「そうですね。やはり政宗様の奥方となればこの位の方でなくては…」

目を細め優しく笑う

何か面白いこと言ったかな?










目が覚めて政宗、小十郎と共に広間へ呼ばれた

奥には変わらず武田信玄。

「目覚めたか!」

「はい…ご心配お掛けして申し訳ございません」

頭を下げれば信玄は慌てて言う

「頭を下げるな!下げるのはこちらの方だ!!
伊達政宗殿。此方で預かると言っておきながら大事な正室殿を危険に晒してしまい誠に申し訳ない…
所要で幸村、佐助が城を空け、目が行き届かなかったことを重ねて謝罪する」

畳に着くかと言うほど頭を下げる

「お館様ぁ!!政宗殿!!拙者にも責がある!!申し訳ござらん!!!」

「………いいさ。杏は無事だったんだ。怒ってはいない。」

「ま…政宗殿…!!」

「杏を連れて明日奥州へ発つ。長い間世話になったな」



杏は広間を見渡し違和感を覚える

桜が居ない…
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