ugly duck

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今日は地球のどこかで皆既月食らしい。
ここ日本では満月が三日月くらいに欠けて赤い月になるそうだ

空にはうっすらと赤い三日月。

そしてあたし、杏は今までで一番怒っている。
これがキレるってやつか。

目の前には幼稚園の頃からの幼馴染み、桜とあたしの彼氏のユウキ。

近くの神社のお祭りに一緒に行く、とゆう約束で浴衣を着て待っていても来ない。
何度電話しても繋がらない。
音楽を聞きながら来てしまった為、電話もメールもたくさんしすぎて充電が切れてしまった。

もう帰ろう、と歩きだしてすぐ、見慣れた男女二人がキスしている

男はこちらに気付き驚く
「え?!杏…」
ユウキは女の肩を掴んで自分から引き剥がすがもう遅い

「あれー?杏居たの?」
まただ。いつものどや顔の意地悪そうな笑み。

小さい頃から桜は女の子らしくて可愛くておしとやかで男の子の人気だった。
華奢。この言葉がとても似合う。

家が隣のあたしは正反対で小さい頃からお転婆。
男の子を泣かしたり親の心配なんて気にせず木登りしてみたり川に飛び込んで遊んだり…

そんなあたしと桜は比べられるようになり、負けず嫌いの桜が段々と汚い手を使うようになってしまった。
嘘をついてあたしを貶めたり、化粧も真似、服も真似。
自分の方が似合ってると言わんばかりに。

そしてやっと出来た彼氏は大方、あたしが来れなくなったとでも言って一緒に来たのだろう。

「あんたいい加減にしなよ!!」

桜の胸ぐらを掴みかかる

「いったーい!私何もしてないってば!なに勘違いしてんの?」

胸ぐらを掴んだだけで体に触れてもないのに痛いって頭悪いのかと思ってしまう。

「いつもいつもあたしの真似ばっかりして今度は彼氏?!」

「そんなに取られなくないなら首輪でも付けなよ!離してってば!」

掴みあいになり二人でよろけた瞬間、橋の欄干にぶつかり落ちる


あぁ、ここの川って深かったっけ?
このまま死んじゃうのかな?
人生最後に嫌なことって相当ついてないな。

赤い三日月さんまだ死にたくないですやりたいこと沢山あるんです。
助けてください



水の中に落ちてひんやりとした感覚が全身を襲う


あたしは死んじゃうんだ
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