promise
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潮の香りが心地いいこの丘は小さい頃元親もよく来ていた
国親から受け取った箱を持ったまま父親を想い瀬戸内海の見えるいつもの丘に腰をおろす
「おい」
「なーに?」
「部屋に来るって言ってなかったか?」
「ちょっとここに来たくなったの」
胡桃の隣にどかっと腰をおろす
「話、どうだった」
「…話してよかったよ。元親のお父さんいい人だね」
「そうか?仲間を海へ捨てたんだぞ?」
「理由があったんだよ」
「そのうち話してくれよ」
元親は大きくあくびをしながら伸びをすると胡桃の膝に頭を預け横になる
「眠い?」
「少しな」
と言うとすぐに寝息を立て始めた
それが少し可愛く、優しく元親の頭を撫でる
「弥三郎…あたしのこと何も覚えてないの?」
自分ばかり覚えていていつか会いに来てくれると信じていた幼馴染みは再会して名前を言っても覚えていなかった。
それほど自分が城を離れたショックが大きかったのかと思うと嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになった
ずっと想っていた元親になら嫁に行ってもいいと思っていた。
その上国近親と親の願いなら尚更だ。
だが元親に嫁に行くなら再会してからの自分ではなく、幼馴染みの自分として嫁に行きたい
どうすれば思い出してくれるだろうか。
今の様子を見れば自分が幼なじみと言っても半信半疑だろう
「思い出せよばーか」
寝ている元親の綺麗な寝顔を見て頬をひっぱると目が覚めたようだ
「んぁ?どした?」
「何でもなーい」
頬を引っ張られたままぽかんとしている。
そういう表情は昔と変わらない