囚姫

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窓もない暗い狭い部屋に唯一の明かりはは揺らめく蝋燭の灯火

静かな部屋に響くのは悲鳴のような嬌声

「ぁっ…あ…ぬ…主様…」

「くっ…」

いつもの熱い感覚が下腹部を覆う

ぐったりと横たわれば頬を伝う涙を細い指が拭う

「お前は何故いつも泣く」

「わからない」


抑揚なく答える女の頭を一撫でし、足にがちゃりと音を立てて枷をはめて男はカラクリの壁を押して部屋を出ていく

体に吐き出されたものを拭き、気だるそうに起き上がり若草色の羽織に腕を通す

布団に転がり手を伸ばした先には年季の入った虎縞の猫の人形
両手で人形の両足を掴み動かす

13歳からここにいる
何年経ったのかも今の季節も時間も解らない

この部屋に来るのは先程の男、男が去った後女が布団の替えと着替えを持ってくる

男はいつも部屋に入ると行為をしてすぐに出ていく
女に話しかけても何も返事はしてくれない


きつく抱き締める


おかしいな
いつもは行為が終われば女が来る
今回はしばらく待っても来ない


ゆっくりと目を閉じようとすると部屋の外から大きな音がする
爆発音と共に金属音を鳴り響かせながら人が歩く音がする
近付いてくる

カラクリの壁から光が漏れる

「…なんだ?この部屋」

漏れた光は大きくなりいつもの男とは違う男が顔を覗かせた

「あんた…名前は」

「…誰」

銀髪の左目に眼帯をした男は部屋へ入り近付いてくる

「俺か?俺は長宗我部元親だ」

人形を抱いたまま見上げる

「ちょうそかべ?」

「もとちか、だ」

元親はそう言うとにこっと笑う
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