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『政宗、最初の手紙は見てくれただろうか?
政宗は奥州にいろと言ってくれたのに私は本心を答えなかった。
私がもし雑賀で無ければ出会っていなかったと書いたが、今日ほど雑賀で無ければと思った日はない。
本当は帰りたく無かったんだ。
雑賀より奥州を取りたかった。
だが、この先東軍西軍での大きな戦があるのに私が奥州に残り、伊達と雑賀に溝が出来てしまったら?
私が居る為に伊達の戦への準備が遅れたら?
と思うと政宗に迷惑は掛けられないと思い帰ることを選んだ。
ずっとこの気持ちが解らなかったが、きっと私は政宗の事が好きなんだと思う。
もしも…私が生き残って、政宗が私を忘れていなければ…』
続きの一言に雫が垂れて滲んでいて読めない。
「…馬鹿な女だな…」
少し潤った目をしてにやりと笑う
「…政宗様」
「Ah?小十郎か」
襖が開くとまだ湯上がりの姿のままの小十郎が立っていた
「お前…」
侍女は小十郎の方へ向き畳に頭をすり付けた
「片倉様…申し訳ございません。打ち首でも何でも好きなように処分下さいませ」
「shut up!お前は処分しねぇ。下がれ」
侍女は恐る恐る出ていった
「政宗様…」
「何だ?」
「手紙の件、政宗様の事を思って見せまいと思っておりました。お叱りください…しかし、状況が変わり今お渡ししようとしておりました。」
「状況?」
小十郎の言い方に眉をひそめた
「徳川と雑賀で向かった甲斐ですが…武田だけではなく西軍の大半が集まっていたとの情報が入りました」
「なん…だと」
手紙を持つ手に力が入る
いくら雑賀と徳川でも西軍ほとんどが相手となれば…
「小十郎…準備しろ」
小さくはい、といい部屋を出ていった
「桃…」