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「政宗」

「…」

動けない。

厠へ行きたくなり、泣きすぎて重いまぶたをこじ開けて動こうとしたががっしりと政宗が抱きついている為全く動けない

「…綺麗」

こんなに至近距離で政宗の顔を見るのは初めてかもしれない。
キメの細かい綺麗な肌、長いまつげ、柔らかい髪。
少しだけ開いた口はいつもの強気な政宗からは想像もつかないくらい無防備で少しだけ間抜けにも見えた。

「政宗…起きて」

さすがにこれ以上我慢できないので頬をつんつんして起こしてみる

「ん…」
「厠行きたい…」
「んん…いってらっしゃい…」

寝ぼけているのか可愛い言い方をして手を離してくれた。

「…行ってらっしゃいだって」

なんだか可愛くてにやにやしてしまう。
昨日されたことは正直傷付いたが その前と後の政宗は優しかった。
あまり思い出したくないから考えないようにしていた。
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