姫花忍

□06
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ベッドに座らせて消毒薬やガーゼなど、てきとうに薬棚から取り出して血が垂れている膝を出させる。

靴下を脱がせて膝を立たせると真っ赤な血を拭いて消毒液を含ませた脱脂綿を傷口に少しずつ当てていく

『…っ……ぃ…た…』

相当痛いのか目には溢れそうな程涙を貯めている

『あと少しだからな…』

脱脂綿を傷口に当てる度痛さで小さく震える白い足、痛みで時折溢れる小さな甘い声が何だか可愛くて、溢れそうな程貯めた涙も、俺がそうさせたんだとなんだか胸が熱くなる。
こいつはこうやって小さな声で鳴くのか?
それともこんな甘い声じゃなくそうゆう時だけ色気のある声で鳴くのか?

短いスカートから片方だけ立てた足の付け根が見えそうで、そんな不純な気持ちは余計煽られる。

『…っあっ』

つい意地悪したくなり、消毒液をたっぷり染み込ませた脱脂綿をぎゅっと押し付けると小さな体をびくりと震わせて甘い声が部屋に響く。

『…元親く……いだぃ……』

『わ…悪ぃ!…強くしすぎたな…』

もう溢れても可笑しくないほど涙を貯めて顔を赤くして訴える桃花がもう愛らしくてこのまま押し倒したい衝動に駆られる。

『hmm…お楽しみ中か』

不意に背後からしたのは政宗の低い声。

『政宗…』

『人の女に手ぇ出すような奴だったのか』

『違っ』

言いかけた所で眉間にシワを寄せた政宗は俺の胸ぐらを掴み、殴りかかった。
しかし桃花が胸ぐらを掴んでいる政宗の手を押さえて急に目の前に飛び出し、殴られる!と思ったが頬に当たる寸前で拳は止まった。

べちん

そんな間抜けな音の正体は勢いよく前に飛び出したはいいがまだ血の滲む膝を突き、痛みでバランスを崩した桃花が床に落ちた音。


『階段から落ちてね、元親くんがケガの手当てしてくれてたの』

『Ha!そうゆうことなら早く言えよ』

『言う前に殴りかかっただろーが!』

確かに、溢れそうな程涙を貯めて片足は靴下を脱がされて膝を立て、胸元のリボンを直そうとして少しはだけているところを俺が立てた足を膝裏から掴んでいた。
そんなの見れば誰だってやましいことをしようとしている現場には見えてしまう。


ちゃんと手当てしてやると桃花は少しだけ瞼を桃色に染めてありがとう、と緩く笑った。

この時聞いた甘い声も、少しだけ触れた白い足も、ずっと頭から離れなかった。





俺はやっぱり片想い止まりなのか…
やはり桃花は無理して俺と付き合おうとしているところは何となく解る。
桃花の気持ちを解ってやりたいのに、せっかく手にいれたあいつを手放したくないからと政宗としていたことを想像して嫉妬心が大きくなる。

「くそ…俺格好悪ぃな…」

何で桃花なんだ。
他にも女はいるのに桃花だけはどうしようもなく、狂いそうな程好きなんだ…
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