姫花忍
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もう夏だ
政宗くんと別れて約三ヶ月、程なく元親くんに告白されて付き合ってもうすぐ二ヶ月
クラスのみんなは仲がいいから、政宗くんは私と元親くんから少しだけ離れて座るけどお弁当もみんな一緒に食べていて、完全に離れると思っていた政宗くんとは微妙な距離でクラスメイトとして付き合っていた
「桃花!私の班は準備があるから先に行くぞ!」
体操服に素早く着替えたかすがはそう告げると足早に教室を出ていく
一人取り残された教室で体操服を入れていた花柄の袋に目を落とす
上の半袖しか入っていない
どうしよう…
とりあえず上だけ着替えて考えているとバタバタと廊下を走ってくる足音が近付いてきてガラリと戸が開くと体操服姿の元親だった
「あ?桃花何やってんだ?」
「元親くん…体操服の下忘れちゃって…」
先生に怒られるかな、と言おうとするとロッカーから洗濯したての匂いのする長パンを履けよ、と差し出してきた
「え?いいの?」
「でもデカイから裾折れよ?」
元親の肩くらいまでしか身長がない私じゃそのまま履くと引きずりまくるだろうな…
元親が忘れ物を探している間にささっと着替えたがやはり大きい
裾を膝辺りまで折って髪をポニーテールに結ぶと鞄の底からタオルを引っ張り出した元親はじっと見つめる
「な、なに??」
「いや…何でもない。いくぞ!」
顔を逸らして手を握ってぐいぐい引っ張っていく
元親くんどうしたのかな?
歩幅の広い元親に合わせて小走りに着いていく
体育館に着くとまだ先生は来ておらず、真ん中を大きなネットで区切って奥が男子、手前が女子に分けられていた
刺さるような視線にぞくりとする
まただ…
「どうした?」
「なんでもないよ!ありがとね元親くん」
元親に手を振ってネットの境界線で別れるとかすがが声を掛ける
「桃花…もしかしてまたか?」
「違うよ!今日忘れちゃって元親くんに借りたの」
心配そうにするかすがに笑顔で言うとほっとした顔になる
「今日は武田先生忙しくて最後しか来れないから、とりあえず男子はバスケで女子はバレーボールだ」
日直のかすががそう言い、女子が半分に分かれてコートに着くのを腕を組んで見ていた元親がぽつりと横にいる政宗に言う
「桃花、顔面にボール食らうんじゃねぇか?」
「HA!あんた何もしらねぇな」
まぁ見てな、と言う政宗を不思議そうに見たが言葉通り眺めているとその理由はすぐにわかった
「桃花!」
かすがの掛け声と同時に小さく助走をつけて跳び上がり、落ちてきたトスを思い切り叩き込むと鋭くライン上に落ちる
「すげぇ…」
「hum…あいつ中2までずっとバレーやってたんだ」
少し懐かしむような表情の政宗にちくりとする
こいつは俺の知らない桃花を知っている
「ちょっとちょっと長宗我部の旦那ぁ〜!あれ、やばいでしょ!あれ!!」
いきなり背中をばしばし叩きながら出てきたと思えば佐助が指差すのは桃花。
「…何だよ」
「あれ、かすがと同じくらいあるんじゃな〜い?それにスパイクで跳んだ時に見える腰、やばいね〜!」
「…てめぇはバスケ行きやがれ!」
確かにでかいのは気付いていた
それにあのすべすべした肌に触れたのは手ぐらいだ
あの腰、触りてぇ…
教室で髪を結ぶのだって伏せ目でやられれば色気も出ていて今すぐ脱がせてやろうかと思った
あの肌に触れたい