姫花忍
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クラス替えであいつともクラスが離れるだろう。
そうすれば少しはこのモヤモヤも収まる筈だ
自分の名前を探して新しいクラスへ入りいち早く一番後ろの窓際の席を確保すると知ってる奴、知らない奴が入って来てざわざわと賑やかだ
また新しく入ってきた男は知ってる男
目が合うとにやりと笑いこちらに向かってくる
「よう独眼竜!桃花と別れたってぇのは本当か?」
「HA!…何で知ってんだ」
開口一番それかよ
「いつも一緒のお前らが別々で登校してくりゃケンカか別れたかのどっちかだろ」
「hmm…まぁな」
今はあまり考えたくない
あいつの顔ばかり思い出しちまうだろ
「お!政宗殿!元親殿!」
「おはよ〜ん」
「お前達早いな」
ぞろぞろと目立つ集団が入ってきた
唐茶色の頭をした男に橙色の頭で顔にペイントをした男、蒲公英色の頭の女
元親と共に目を向ける
「真田、猿飛、かすが、お前らもか」
猿飛佐助は本当は一つ上だがかすがと同じクラスになりたいがために留年したと専らの噂だ
皆で騒いでいるとまた一人教室へ入ってきたのを見て目を丸くする
言葉が出ない
「おはよ、かすが」
「あ、桃花も同じクラスなんだな」
「桃花ちゃんとおはよ〜ん」
見間違える訳ねぇ。
綺麗に切り揃えた前髪にいつもの様に緩く巻いた胸に掛かるくらいの艶のある栗色の髪。
スカーフを勝手にリボンに変えていて襟とリボンだけ出してベージュのセーターを上に着ているセーラー服。
透き通った甘い声にあのほわっとした綿飴みたいな雰囲気
いつもならすぐにこちらに来るのにかすがの隣の空席に鞄をかけて座る
おかしい。クラス分けを見たときこのクラスにこいつの名前はなかった
「それがねー!1組に名前あったから行ったら空席ひとつもなくて、職員室に行って聞いたら2組の間違えで、遅刻しそうだったから走ってたら階段で転けて膝擦りむいちゃった!」
血が滲む膝を指差して緩くえへへっと笑う
馬鹿か。さっさと消毒しやがれ
いつもお前は何か落とすし何もないとこで転けるし………
はっとして視線の先を見ると元親がにやにやしている
「なんだよ。まだ好きなんじゃねぇか」
「shut up!!」
もう…見たくねぇ
平然としている桃花の姿を見るのが辛くなってきた為窓の外を眺めて時間を潰す
「…い…おーい」
「Ah?」
居眠りした様で教室は皆が荷物を持って動いている
見上げると元親。
「席替えだとよ」
「Ah?ここは俺が取ったんだから俺のだろ」
「まぁまぁ。お前一つ右にずれるだけだったみてぇだな」
それでも窓際の角を取られるのは癪だ。
替われって言って替わらせるか…
とりあえず言われた通り席を一つずれて窓際の席を獲得した奴を待っているとまた目を丸くした
今日は驚いてばかりだ