retaliation

□05
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「………ん」

人の動く気配で目が覚めると皆はもう起きていた

「遅くなってすいません!」

と言うが誰も怒る様子はなく本当に今から戦なのかわからなくなる
なんでいつもこんなに余裕なんだ……


「飯食ったら準備だ!!」
小十郎の一言に皆返事をして馬を集め、銃に火薬を詰め、弓矢の補充を始める

小十郎と政宗で絞めるところは絞める。とゆうことだろう

「綾斗」

皆が準備で居なくなったと思えば政宗に腰を掴まれる

「ちょっ……まだみんなが」

「誰も見てねぇよ」

「…っん……ぁ…」

音を立てて唇を話せば少し不満げな顔で頬を紅潮させていた

「お前はとにかく俺の後ろを走ってこい。絶対離れるな」

「…わかりました」








腰に刀をさして兜の紐を締める
馬に乗り政宗の後ろの列に着く

正宗が朝日に照らされ大きく息を吸う

「are you ready guys?」

「「「おおおぉぉぉぉーー!!」」」

「Let's party!!!!Go straight!!!!!」

「「「おおおぉぉぉぉーー!!」」」

政宗の声を合図に一斉に走り出す
弓矢と銃の部隊が堀をぐるりと囲む
門を破り突っ切れば枯山水の庭を音をたてて踏み荒らし騎馬部隊が突き進み歩兵が城の中へ入っていく

「綾斗!!小十郎!!行くぞ!」

「は!」「はい!!」

馬を飛び降り歩兵の作った道を政宗と小十郎が突き進む

向かってくる奴の手足を切り動けなくしろとは言われたが刀を六本抜いた政宗は無敵で、自分も刀を抜いたのはいいが払う露も残っていない

片っ端から襖を開け最上を探すがなかなか見つからない

「はぁ…はぁ…いない……」

「shit!!あの狐どこいきやがった!!」

「……政宗様」

何かを見つけた小十郎が指差す先は行き止まりの壁

「Ah?」

よく見ればうっすらと切れ目が見える
強く押してみれば壁が動いた

「…長宗我部みてぇなことしやがって」

完全に動かせば奥に廊下が続き光の漏れる部屋があった

ゆっくりと襖を開ければ相変わらず髭を撫でながら玄米茶を飲む最上の姿があった

「まっ…政宗君!どうしてここに!」

「Ah?お前が良くわかってんだろ?」

「何のことだい?お付きの者まで従えて…山田くん、だったかな?」

「片倉小十郎だ」

目の前に居るのは定期的に村へ来ていた最上だ。
何も変わっていない…本当にこと人が?

「そっちは山本君だったかな?」

「…………」

「お前、黒川の村を襲っただろ。あれは伊達と最上の中立だった筈だ」

「な…なんのことかね?我輩の様な超紳士がそんなことするわけないじゃないか」

「こいつの顔を見ても同じことが言えるか?」

綾は顎の紐を外し兜を脱いで最上を睨み刀を差し出す

「………五三桐…っ…綾…そんな…皆殺しにしろと言った筈…」

はっとして最上が不敵な笑みを浮かべる政宗を見る

「HA!尻尾を出したな!」

「やはり…叔父様だったんですね」

焦った顔の最上はよろよろと綾の肩へ手をかけようと近付く

「い…嫌!違うんだよ綾!我輩は…っ!!」

綾の刀は真っ直ぐ最上の喉元に向く

「…いいのかい?…我輩を殺せば…家族は居なくなる…天涯孤独だよ?」

「…家族なら…私には空と政宗が居ますから」

「し…しかしだね」

「さよなら。叔父様」

「綾!!」

綾の頬を涙が伝うと狼狽する最上の首に刀を切りつける
さらに両手に力を込めると肉塊が音を立てて畳に転がる

血飛沫に自分の体が染まる
村のみんなの仇は…取れた

政宗は代わりに首を取ってやると言ったけど自分で取らなければ意味がないと思っていた

政宗が急いで刀を払い落とし肩で息をする綾を抱き締める

小十郎は刀を拾い上げ血を拭き取る

「綾…」


これで…少しは皆の無念は晴れただろうか
しかし、こんなに赤に染まる私を父様と母様は望んで居なかっただろう

息が…苦しい…頭がぼーっとする
政宗と小十郎の声が遠い

血を浴びて赤い斑点の着いた蝋燭を眺めて意識を手放した
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