ugly duck
□05
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縛られたまま夜が明ける
今日、もしかしたら政宗が帰ってくるのに…
何か縄を切る物がないかと色々探してみるが何もない
木をくべられてずっと赤く光る炭に近づければ焼ききれるだろうか
「なんでいつも私の邪魔ばっかりするの」
隣の部屋に居る、同じく縛られている桜がやっと口を開く
「邪魔なんかした覚えない。あんたの意味わかんない負けず嫌いのせいで比べられてばっかりでこっちは参ってるんだって」
「そんなの…この先、一生友達でいるかどうかも解んない上辺の友達でしょ」
「上辺って…」
何が言いたいのかわからず呆れた声を出す
「…比べられてたのはあんただけじゃない…」
「どうゆうこと?」
俯く桜はぽつりぽつりと話し出す
「家も隣、親も仲良し…うちの親はあんたよりあたしが優秀って思いたかったみたい。
ずっと成績が同じくらいだったのにあんたが部活とかで凄くなったでしょ。
うちの親、なんで杏より上じゃないんだって言い出しちゃって酷いときは暴力もあったよ」
「…話してくれれば…」
「あんたは部活で居なかったでしょ。
あんたが部活の助っ人で個人賞取ったり有名になればなるほどうちの家は大荒れ。」
「……」
「しかも、そうやって急にあんたより優秀になれって言い出したの何でだと思う?」
「…何?」
「うちの母親とあんたの父親が昔付き合ってて今も不倫してたらしいよ」
「…………嘘」
嘘じゃないよ。と皮肉っぽく笑う
あたしも桜と同じ立場なら同じことをしていたかもしれない…
ずっと一緒だったのに部活に明け暮れて桜の変化にも気付かなかった
「あんたが悪い訳じゃないのに嫌がらせばっかりしてごめんね」
「…そういえば…たまに部活終わるまで見てたときあったね…話したかったの?」
「………まぁ…ね」
「ごめん」
「いいよ。もう。」
親のことはどうあれ、変化に気付いて上げられなかったのは悔やまれる
「もう!!なんでこの縄取れないかなー」
腕を動かして縄が擦れて手首が赤くなっている
「待って」
桜の所まで這い寄り背中合わせになる
両手で縄をほどこうとするがなかなか取れない
早くほどかないと男が帰ってくるかもしれない…