仲悪そう?

□新メンバー
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新しい5番は同じ三年の黛。バスケでの噂は聞いたことなかったけど、国社の成績がお前テスト作ってんじゃねえのってくらいにすげぇことは知ってて、ほーこいつかーくらいで終わった。
黛は影がうっすいのを利用してパスに特化した選手にすると赤毛のアンこと赤司が言ってた。あー、特徴を武器にするのねーふーん。

今までずっと二軍だったけど、努力が報われたんだな、うん。良いことだ。
スタメン外れてから練習が若干、本当に若干だが楽になった。へっへーやったーとか思いつつ練習終わりに部室備え付けのシャワー浴びて、ふんふーんって歌ってないけどそんな感じで着替えてる時に、だ。
少し離れたロッカーで一軍の同じ三年が黛の陰口を叩いてた。
マジムカつくぅ〜とか、なんなんだよアイツぅ〜とか、女子か。いや、女子の皆さんを敵に回す気はないんだけど。
他人事ーっと聞き流してたら、
「お前は悔しくねぇのかよ、苗字」

え?あっしですかい?
くるりと振り向いたら、まぁお怖い顔。あ、えっと返答な。

「いや、別に?だって赤司が決めたことだし。なら、まぁ、いっかなーとか」
「はぁ⁈お前はそんなんで良いのかよ?赤司が決めたから?」
「一年坊主の言いなりかよ、副主将が‼」

いやん、怖い。んー、そうじゃないんだよね。

「黛はさぁ、アイツなりの影が薄いっていう特徴があるじゃん。でもさぁ、俺らにそんな特別な特徴ってある?赤司はそこを重視したんじゃねぇの」

「…。」
「…。」

あ、黙った。よし、俺は着替えたぞ。お前らもとっとと着替えろよーじゃなー。

適当に手を振って部室を後にした。











シャワー室のドアの向こうで黛は一通りの会話を聞いていた。
恨んでるだろうなと思っていた人物からの、意外なフォロー。
オレの存在に気づいていたのだろうか、だからあの場では悪く言わなかったのだろうか。いや、気づいていたら声をかけて来るだろう、空気を読まずに。

ずるずると黛はその場にうずくまった。

なんだよ、不覚にもキュンときただろ。


しかしキュンとさせた当人はその頃、腹減ったなーなどとで全く気づいていなかったのだが。

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