立場は違えど
□腹を括る
1ページ/1ページ
イタリアへ行くことが決まった日の夜。
また家まで送ってもらった。
男の子も一緒に行くということ、最低限の知り合いとだけ別れを告げること、など色々言われた。
その日はすぐに寝てしまったが、翌日の今日になってふと気がついた。
ツナ君達には誰が伝えるの?
私から?それともザンザスさん?
後で決めるのかな。
男の子を保育園に連れて行ってカフェから帰ってくる途中。
なんと言い訳して仕事やめよう。
突然、マフィアと暮らすのでイタリアへ行きますだなんて言ったってふざけてるとしか思われない。
…遠くに引っ越す、とか。
保育園とカフェはそれで辞められるけど、バーはどうだろうか。
…親戚に引き取られることになりました、とか。
実際は親戚じゃなくてマフィアなんだけどね。
きっと、それが妥当。
♪♬〜♬〜♪♩♫〜
電話がかかった。見知らぬ番号。
無視しよう。
♪♬〜♬〜♪♩♫〜
また。
♪♬〜♬〜♪♩♫〜
粘る。
♪♩♫〜♪♬〜♬〜
今度はメール。スクアーロさんから。
件名
本文 なんで電話に出ない。
「…あ」
メアドは登録してたけど、電話番号は登録してなかった。
履歴から電話をかけ直した。
「ゔぉ"お"お"い"…」
「ごめんなさい、電話番号登録してなくって」
「あ"あ"ぁ"?名刺渡しただろぉがぁ」
「貰ったけど、登録してなかったの。何のお話?」
電話の向こうで何か唸ってる声が聞こえたが無視した。
「テメェ、仕事はどうなった?」
「カフェは普通に働いたわ。バーの方は今日にでも辞めるってことを伝えるつもり」
「そうか…今日もバーにいるんだな?」
「えぇ」
「今夜も行くからなぁ」
「?わかったわ。切るわよ?」
「あぁ」
何が言いたかったのかしら。
何でもないと思うことにした。