悪魔のルフ

□1話
1ページ/2ページ



目が覚めると、私は暗闇の中に立っていた。

何も見えない。
何も聞こえない。
何も感じない。


私、死んだのかな。
なんて考えてみる。


ー ピチャ…ン ー


雫が落ちる音が聞こえた。

その瞬間、痛みを感じた。


『いっ……た………!!』


見ると、左肩が焼けただれていた。

あ、そっか…。

私は思い出した。

家を燃やされたこと、
父様や母様が私を助けてくれたこと、
でも、父様と母様は助からなかったこと。


私、だけ。


信じていた人たちに裏切られ、家を焼かれ、両親を殺され。


醜い、人間どもに。


絶望した。この世界に。


復讐したい。この世界に。


「憎いか?この世界が」


声が聞こえた。
でも驚かなかった。
もう何が起きても驚かない。


『……私に、力があったら…』

父様も母様も、助かったかもしれない。


「力が欲しいか」


力が、欲しいか?


『っ………欲しい!!!!』


「ならば契約しよう。悪魔たちと」


私は首をふった。


「なぜ?」


『私が……私が悪魔になる!!!!』


カッと世界が輝き始めた。


「その言葉、聞き届けた。契約を交わそう。そなたは今日から人間ではない。悪魔だ」


『……… 』


「そなたに私の力をあげよう。その力は強力なものだ。その力で大切なものを守り抜きなさい」


『はい』


「私の名はソロモン。また会おう、十季よ」


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ