鬼灯の冷徹 長編

□第三夜
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「ん.....ほぉずき...?」

「おはようございます、よく眠れましたか」

目を開けるとすぐ横で正座して座っている鬼灯がいた

「ご飯作りましたよ、さぁ顔を洗って来てください」

「ん」

短い返事をするとトコトコと洗面台へと向かう

そこまでは良かったのだが洗面台の位置が高くて顔が洗えないのだ

周りをキョロキョロ見渡すと箱があったのでそれをおぼつかない足取りで運びその上に乗る

「よし、できた」

そしてしっかり顔を洗うと箱も元に戻し台所へいく

「質素なものですがお味噌汁とご飯です」

「わぁ.....」

今度はちゃんと鬼灯に抱えられ椅子に座りテーブルを見るとご飯と味噌汁がある

久々にちゃんとしたご飯を見た

「私はあまり料理をしないものですからこんなものしか作れませんでした、でも食堂もありますので今度はそちらに行きましょう」

「おぃしそう....いただきます」

一口ご飯を食べ味噌汁を飲む

ジワリと暖かいものが喉を通る

その瞬間涙がこみ上げた

ちゃんとしたご飯なんて食べられてなかったしとっても美味しいのだ

「あの、不味かったですか?」

「ち、ちがう...すごく美味しくて...」

涙を拭いてちょっとだけ鬼灯にはにかむと鬼灯は少し固まるがすぐにパクパクとご飯を食べ始めた

「鬼灯のご飯、好き」

「ありがとうございます、すこし料理についても勉強してみますかね」

そしてそのあとは無言でご飯を食べ終わると片付けをし鬼灯が出かける用意をし始めた

「どっかいっちゃうの?」

壱岐は不安そうに鬼灯の着物の裾をきゅっと掴む

「いえ、壱岐さんの洋服や日用品などを買おうかと思いまして、一緒にいかがですか?」

そう聞くとホッとして手を離す

「ぇ、買ってくれるの...?」

きょとんと目をパチパチさせる

「ずっとそのままの服でいられましても困りますし、貴女は女性ですから色々必要になるものもあるかと」

女性と呼ぶよりもまだまだ女の子ではあるが下着などもいるだろう、みたところ大切そうに着ている着物のだって所々破れたり変色しているところもある

「あ、ありがと...」

「いえ、いいんですよ、さぁ行きましょうか」

鬼灯は微かに微笑むと壱岐の小さな手をとって歩き出す

向かうは市場だ




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