鬼灯の冷徹 長編

□第二夜
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「大丈夫ですか?」

「私、人を殺したからここにきたんでしょ」

鬼灯はうつむいたままの少女と目線を合わせるためにしゃがむ

「いぇ、ここに来たのは貴方のお父上が決めたことなのです」

「....え」

父さんが?なんで私を地獄なんかに

「お気づきかもしれませんが貴女は人間とは違うところが幾つかございますね?」

人間と違うところ

わかるに決まっている、そのせいでこんなことになったんだから

「目の色と....角...」

「えぇそうですそれはお父上からの遺伝なのです、」

「じゃあ、父さんは本当に人間じゃないの?私も...」

あいつらが言っていたことって本当だったの?

「お父上は正真正銘の鬼です、ですが貴女は人間と鬼のハーフなんですよ」

だから片目だけが金色なんですと言われなんとなく納得した

「じゃあ父さんはどこ?私が死んでここに来たなら父さんもここにいるんでしょ?」

やっと会える、誰もいじめたりしないんだ

「.....貴女のお父上は消滅してしまわれました」

「.....しょう、めつ....?なんでっどうしてよ!死んだ人は必ず天国か地獄に行くんでしょ?なんでいないのっ?!」

「元々鬼の居場所はここ地獄なのです」

だが彼は偵察のため現世へ行くと一人の女性と恋に落ちた

そこからはずっと現世にいたため見た目ではわからないが肉体は地獄にいないせいかボロボロになっていたらしい

本来鬼のいる場所は地獄、娘は無実であるが天国には行けないのだ
鬼だから

鬼としての役目があるから

「だから力がなくなる寸前に貴女を私の近くに飛ばしたのです」

自分が消滅してしまうとしてもと子供には少々酷な話だが現実を突きつける

「.....とぅ、さん...」


呼んだってもう優しくて暖かい父さんは返事さえしてくれない

「私と共に暮らしませんか、」

「ぇ」

「こう見えて彼はとても地獄で有名なお方です、地獄にいた時のことお話しして差し上げますよ」



「いっいやっ!!父さんに会うのっ父さんに会いたいっ」

そんなのいやだよ、信じたくない

会いたい、会いたいよ父さん

「大丈夫です、さみしくなんかありませんよ、貴女は一人じゃない」

一人になるのが怖かったんですよね

泣いていいんですよ、

そう言われて抱きしめらてると私はそのまま泣き叫んだ

今まで積み重なって来たもの全てを吐き出すように

「私がそばにいますよ、大丈夫」

あやされるように頭と背中を撫でられる

父さんとはまた違うあたたかさと優しさを感じた

心が落ち着いて行く

さっと私を離すと涙を拭ってくれる

「私は鬼灯と申します。貴女は?」

「.....壱岐」

控えめに小さな声でつぶやく

「壱岐さんですね、では行きましょう」

鬼灯はそう言うと立ち上がり再び私に手を差し伸べる

今度は弱い力だがすっと鬼灯の手に小さな自分の手を重ねるとぎゅうっと握り返しいてくれた

そして立ち上がるとくいっと引っ張られながら歩いていく

これからどこに行くとかよくわからないことだらけだけど私は握りしめられた手からの温もりなんだか胸を熱くさせた




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