鬼灯の冷徹 長編
□序章
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夕焼けに焼かれて
涙も枯れ果てて
声さえなくなって
冷たくなった身体を触って
私はまた夕焼けを見つめる
やがて自分の身体も重くなって
地面に身体を預ける
大地の鼓動が
大地の息吹が
私を包み込んで
身体がかるくなった
やっと楽になれる
こんな苦しくて辛い世界なんか
無くなればいいって思っていた
それでも思った
死にたくないと
だけど現実は残酷で
少しずつ意識が薄れていく
最後に見た夕日の中で
あの人が私に微笑んでいたような気がした
さようなら
大嫌いな世界
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