1年B組


□僕には足りなかった
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先生、好きです。



そんな言葉、届くはず無くて。





部室にみんなが集まったところで、いつもの練習が始まる

文化祭が近くなってきたため、いつもより練習に熱が入る

文化祭では毎年恒例アルスマグナがダンスを披露する

今回のダンスはみんなで踊るだけでは無く、メンバーそれぞれのソロがある

そのため、先生と一対一で練習するのだ

先生と一緒にいれる時間が増える、それが嬉しくて僕はいつもより練習を頑張った

褒められるかな。



でも、僕と先生だけの練習があるということは、他のメンバーと先生が一緒になることが多いのだ

一人で練習しているとき、タツキ先輩と先生が一対一で練習しているところをちらちらと見ていた

タツキ先輩の楽しそうな顔、先生の嬉しそうな顔

先生は何をしても、僕には愛しく見えるのに、このときは愛しくなかった

何かが、何かが違った



――――タツキ、出来たね



先生は低く落ち着いた声で、タツキの名前を呼んだ

先輩にだけ笑顔を見せて、先輩にだけ頭を優しく撫でて、先輩にだけ優しい声を聞かせて

頭を撫でられて明るく輝いた先輩の表情は忘れたくても忘れられなかった



タツキ先輩は、小さくて華奢で女の子みたいに可愛くて、照れる姿は女の子と比べものにならない位可愛かった

女の子が着るお洋服もよく似合って、何をしても可愛らしい

そんな先輩がどこか羨ましくって



それと違い僕は、先生より背が大きく体格が良くて、照れたところで全く可愛さを感じない

女の子が着るような可愛らしいお洋服だって全く似合わない



先輩はいいなぁ、羨ましい



どうしたら僕の名前を呼んでくれるんですか

どうしたら僕の頭を撫でてくれるんですか

どうしたら僕を好きになってくれるんですか



ねぇ、先生





僕だけを見てください。

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