春風、吹き荒れて

□第一章
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ハ「あの〜この制服もらっていーんですか?」

そこには、見違えた姿のハルヒが立っていた。
それを見て、環は素敵だと涙を流し、双子と瑞樹は僕らの傑作だ〜と顔をほころばせていた。当然それを見たハルヒは不気味で肩を震わせいたのだが。



ハルヒが環に声をかけると、環はかわいい!と叫びながら抱き着いていた。

環「なんて愛らしいんだ…まるで女の子のようじゃないか・・・!!娘が増えた!!」

み「ハルちゃんかわいー!みーちゃんなみだねぇ!!」

光「んな顔してんなら早く言ってよねー瑞樹よりかわいいじゃーん」

馨「そーそー、瑞樹なみっていうより瑞樹 よりかわいいよ」

『なんでちょくちょく僕が出てくるわけ?何気に失礼だし。まぁ、これなら僕と合同接客でかなり上位に組み込めるね』

鏡「あぁ、今の瑞樹よりは確実に女よりだが2人並べば絵になるだろう。これなら客もつくんじゃないか?」

と、各自感想を言ったり文句を言ったり。ビジュアル問題も解決されその日の営業からホストとして接客することになったハルヒ。どうしていいかわからず困ってしまったが、環に教わった技の一つ「困ったときは下からアングル」を使い何とか切り抜けた。それを見た部員たちはというと。

馨「なんじゃあいつ、のっけからうけとる・・・」

鏡「初々しさが新鮮なんだろうな」

光「うちには居ない敬語キャラだし」

と、話しているとハルヒに頼まれ珍しく手の空いていた瑞樹が飲み物のお代わりを持ってきた。

『おまたせ』

「あ!瑞樹くん!ハルヒ君をお勧めしてくれてありがとう、おっしゃっていた通り素敵な方ね」

ハ「なんだ瑞樹がおすすめしてくれたの?ありがとう」

『ふふ、どういたしまして』

といった瑞樹は必殺スマイルで返してきた。直で見てしまったハルヒは顔を赤くして固まったが笑顔で返していた。当然他にいたお客もばっちり見てしまい、顔を真っ赤にしている。一人は倒れるほどだ。そして当然、ハルヒの接客を見ていた環、鏡夜、光、馨の4人も。環は頭を抱えながら顔を真っ赤にし、鏡夜は平気なふりをしているが若干顔が赤く、光と馨はそんな顔するなー!!と怒鳴りながら瑞樹とじゃれていた。顔を赤くしながら。当然何のことか身に覚えがない瑞樹は何!?と、焦っていた。
それが落ち着いたころハルヒの接客を見てみると。

ハ「―・・・を1つずつ覚えるのは楽しいし、うまくできた日は父も喜んでくれて。そういう時間が自分はとても好きなんです」

「あ・・・私明日も来ていいかしら・・・」

「わたしも…」

ハ「あ、それは助かります」

それを見ていた5人は

環「天然…?」

鏡「天然だな」

光・馨「「テクいらず・・・」」

『これからが楽しみだね』

と、話していた。


そして、次の日接客の入った瑞樹はお客様のまつテーブルへ。

『お待たせしました』

「えぇ!待ってましたわ!!」

『すみません、新しく入った子が心配で』

「流石はお兄さん系!優しいのね!!」

『あ・・・まぁ、そうかもしれないですね・・・』

と、話をしていると途中で顔色を変えたお客。どうしたのかと尋ねようとするとお客が切りだしてきた。

「ところで・・・」

『ん?どうかした?』

「え、ええ・・・。なぜ、常陸院君がいらっしゃるの?」

と、そういわれて後ろを見るとぶっすーとした顔の双子がいた。

『?どうかした?』

光「今日は一緒の接客っていったじゃん」

『あ、そうだっけ?』

馨「そうだよ。それに接客時間はもう終わってて僕ら待ってるんだけど」

『え、うそ。ホントだ、5分オーバー。ごめん、すぐ行くよ。・・・というわけなので』

「えぇ。わたしの方こそごめんなさいね。また指名させていただくわ」

『うん、ごめんね、ありがとう。・・・さて、今日は4人だったね。いこっか』

光・馨「「うん、はやく行くよ」」

そう言って光と馨は瑞樹の手を取り歩き出した。すでに席にはお客とハルヒが座っていて、ごめん。と謝りながら席に着いた。そして少し話をしていると光と馨が

光・馨「「はーい!「どっちが光君でしょうか」ゲーム!!」」

と、前髪を上げ頬にキューピー1号2号と書いて言い出した。すると、瑞樹はお茶とお茶菓子もってくるね。っと席を立とうとしたがまだあるからいーよ。とハルヒに止められてしまった。

ハ(なんて下らないゲームだ、楽しいのか?)

「分かりませんわ〜・・・。瑞樹くんはいつも一目見ただけで分かりますわよね?お好きなんですの?このゲーム」

っと、お客の一人が言うと、光と馨がやばい。っという顔をして止めに入った。

光「瑞樹に答え聞くのは禁止だからねー」

ハ「好きか聞いただけだしいいじゃない。で、好きなの?瑞樹」

と、ハルヒが問い直し双子はあちゃーっと頭を抱えた。

『僕?こんなくだらないゲーム、大っ嫌い。』

と、笑顔で黒いオーラを出しながら言う瑞樹に全員沈黙。誰もしゃべらないと、当然そのまま瑞樹は辛辣な言葉を吐き出す。

『僕は昔からこのゲームは大っ嫌いだよ?なんで別々の人間を見分けるゲームなんてしなきゃいけないわけ?光は光、馨は馨じゃない。なのにこんなゲーム、いくら見た目が瓜二つだからって間違えたら失礼極まりないこんなゲーム楽しめる人の気が知れないね。バカバカしくてくだらない』

と、いって

『気分悪くなった、これ以上いると泣かしちゃいそうだから今日はもう接客はやめておくよ』

と言い残し、裏に入っていった。最初に好きかどうかを聞いたお客は私のせいで。とうつむいていたが光と馨が代わりに謝っていた。

光「ゴメンネー姫。僕らのせいだよ、こうなるのわかってたのに瑞樹の前で「どっちが光君でしょうか」ゲームなんてしたから」

ハ「わかってたっていつもああなの?」

馨「うん、昔から僕らが見分けられないと悪態づいてたよ。昔、僕らが見分けられなくてしかも、それを僕らのせいにした馬鹿がいてさ」

光「あーあの時はやばかった。逆切れした時瑞樹も一緒にいてさ。ぶちぎれたんだよね」

『ふざけんな!!見分けられないからって本人たちのせいにしてんじゃねぇよ!!光は光で馨は馨だ!双子に生まれたってだけの別々の人間だろうが!!自分が見分けらんねぇのはてめぇの目が悪いだけだろ!!今度そんなこと2人にいってみろ!お前、ただじゃすまねぇからな!!』

っと、今では想像もできない事実を聞いたハルヒは鏡夜としゃべっている瑞樹を見ながら

ハ「よっぽどひどい事言ったんだねその人。あの瑞樹がキレるなんて」

光・馨「「でも、大変だったよー。殴りかかろうとしてたからさー」」

ハ「え!?そこまで!?」

っと話しているとたまたま話を聞いていたのであろうハニーちゃんが話に入ってきた。

み「僕、その話本人に聞いた〜!」

「「「「「えぇ!!??」」」」」
『ハニーちゃん。』

ものすごい凄いオーラを出して瑞樹に止められたため流石のハニーちゃんも黙って言うことを聞き連れていかれた。それを見ながら光と馨は

光「なんであの時あんなに怒ったのか聞きたかったのに」

馨「うん、いつも聞いても教えてくれないし」

ハ「たぶん、だけど。大事だからじゃないかな、2人のことが」

っと、3人は話していた。少し時間をさかのぼり鏡夜と話していた瑞樹。ここでも、同じ話をしていた。

鏡「お前はいつも、あのゲームのことを嫌うな」

『当たり前でしょ。それに、あのゲームをしてる人らの顔見るとあの時のこと思い出す』

鏡「あぁ、「お兄様ご乱心事件」のことか?」

『今そんな名前付いてんだ・・・。』

鏡「いつか聞こうと思っていたんだが、なぜあんなにぶちぎれたんだ。お前は昔から冷静沈着だったはずだが」

『そりゃ怒るよ。あいつあの時―』


「はっ!!何が常陸院だよ!!双子だからって調子に乗りやがって!馬鹿にしてっけどちやほやされて喜んでるんだろ!?どーせお前らなんか誰にも理解してもらえない!!双子なんて、お前らなんて、ただのクズだ!!お前らは、1人の人間にしかなれねー、2人に数えられることなんかねーんだよ!!」

『っていったんだから』

それで怒ったのかと、鏡夜はすぐに理解した。双子と瑞樹はいつでも一緒とまではいかなくても友達と呼び合い、親友と呼び合う仲だ。少なくとも瑞樹はこの世界一双子を理解している。そして誰よりも双子を理解しているからこそ光と馨を1人の人間と言われたことが許せなかったんだろうと。

鏡「理由は分かったが、お客様を怖がらせるな。あくまで今のお前はホストなんだからな」

『わかってるよ。そんなことより』

鏡「ああ、例のことだろう?証拠は集めているがまだ少し不安が残るものばかりだ。もう少し待て」

『はぁ、もっとわかりやすく動けばいいのに。そばで見てる側からすればぶん殴ってやりたいくらいイライラするよ。早くしてね、僕の理性が切れないうちにさ』

そう言った瑞樹の目は光と馨のためにぶちぎれた時と同じ、冷たい怒りを含んだ眼をしていた。
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