超お家帰りたい星人

□第二等星
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うっすらと意識が戻り始める
どうやら気を失っていたようだ
やはり今までの出来事が夢だったのだろうか
あぁそうだ。夢しかありえないだろう
ゆっくりと起き上がる
すると手と足から金属音が聞こえ一瞬思考が止まった
恐る恐る自分の手足を見て見ると、漫画でしか見たことないような手錠と足枷
時間が経過しているのか手首、足首が金属に擦れて赤くなっていた

じょじょに今まであったことが冷たく頭に入ってくる
心臓が、陸上大会のレースに立ったときのようにうるさい
ついでに頭が真っ白になりそうになって今自分が何をしているのかわからなくなるときがある
待て、待て。パニックになるな。落ち着け。こういうとき、冷静さを忘れたら負けるんだから
こういうときこそ深呼吸して物事を整理し理解するんだ
大会の時は「ここは大会だけど」「いつものようにやればいい」「練習のように」「さぁ、走ろう」と事細かく現状の理解をしている
それを今同じ事をするだけだ
さっき「まったく知らない所にいて」「知らない生物がいて」「爆発音」「一つ目の魔王」「そして拘束された」
駄目だ。整理してもこの現状を理解できそうにない
まず始めにここはどこなんだ、という問題。何か建物なのは間違いない
自分は部屋で寝ていたはずなのに
床を見ていた顔を正面に向ける
すると信じがたい光景だった


「・・・え?」


デカイ窓の奥にあるその景色は、混乱している頭でさえ冴えさせてくれるような


真っ暗な宇宙空間だった


宇宙、と思ったのは教科書などで見たことのある惑星があったからだ
あれは海王星・・・だろうか
一体化したいぐらいに綺麗な青い惑星は私に現実逃避をさせてくれた
今起こっている出来事を忘れそうなぐらい綺麗な光景だったがそれも束の間
すぐに現実に引き返される

窓の横にあったドアらしきものが開く
そこから出てきたのはさっきの緑の生物が私と同じように手錠と足枷をされて歩いてきた
三対の緑の生物は首輪をされていて鎖が伸びている
それを持っているのはこの建物の生物だろう。三対の怯えた表情から推測できた
足枷されて歩きづらいだろうに鎖を持っている生物は引っ張って無理やり歩かせている
やがて私のそばまで来ると乱暴に投げ捨てた
三対の緑の生物は、拘束されてるのが嘘みたいに長身で筋肉が隆起している
恐らくここが宇宙だったならこいつ等は宇宙人、ということでいいだろうか
私と同じく捕虜にでもなってしまったのだろう。強そうなのに


「〇$☆#ゝк>」


こちらへ向かって話しかけてきてるが、その言葉が理解できないのも納得だ
ここまできてしまうとすべてがどうでもよくなって笑ってしまう
どうして自分がここにいるのか、どうしてこんな場所にきてしまったのか
いっその事舌でも噛み千切って見ようか?
そんな考えさえ頭をよぎる


・・・いや、やっぱり死にたくない。帰りたい
お家に帰りたい
お父さんとお母さんに会いたい。友達に会いたい
くだらないことで怒ってくれるお父さん。一番親身になって相談に乗ってくれたお母さん
部活で苦しい時や感動を分かち合えた友達
思い返してみれば、私は本音を友達にぶつけたことなかったけど、それでも楽しかった。楽しかったんだ
くだらない話や好きな人の話、まぁ愚痴は楽しくなかったけど、それでも
色んな感情を共有してきた日々は充実してたはずなのにそれを不満と言って
自分は何て最低な奴だろうか
影で人の悪口を言うより最低ではないか
お願いします。帰ったら毎日にきちんと感謝しますから。もう、不満なんて言いませんから
お家に、帰らせてください


でも、そんな現実逃避はあっさりと経路を壊された


「ほう・・・集まったか」


一つ目の、魔王によって
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