短編

□ひとときの夢を
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友達とバイバイし、一人で歩いている
こっから結構家まで距離あるんだよなぁ



部活や習い事もしているわけでもなく、裕福な家庭でもなく、何か特別な特技があるわけでもない平凡な私です
普通が一番
でも友達曰く、「いや名無しさんは普通じゃないだろ頭イかれてるだろ」って言われたけどそんなことないです
映画や漫画の読みすぎなだけです
いまだゾンビウィスルが世界中に・・・!!とか言ってるけど頭正常です


そんな、平々凡々でいつもどおりに一日が終わるかと思ってました



「ちょっ、えっ、大丈夫ですか!?」


道端に人が倒れていた
急いで駆け寄り声をかける
・・・・人じゃない!?え、どゆこと


腕からは電線コードみたいなのが垂れ下がってて、しかも両腕がない
頭を持ち上げてみてもう一回声をかけてみる


「おーーい!!生きてます!?」


人間の重みではなく、無機質な重み
顔にはヒビが入っている。目を閉じてるけどイケメンだということはわかる
これって映画でよくみるサイボーグっていうやつです・・・!?
普通の人なら警察などを呼ぶだろう。おそらく
でも映画のみすぎの私は


「・・・サイボーグかっけぇ!!とりあえず家に運ぼう。お父さん修理とかできないのかな」


家へ運んだ
け ど


サイボーグというのは全身金属でできてるのでそりゃ重い。重すぎる
運動音痴な私が家へ運ぶころにはもうお空が真っ暗だったよ
こんなの引きずって歩いてる女子なんていたらそれこそ通報される


そしてなんとか家についた
うわ、もうお父さんも帰ってきてる時間じゃん
私疲れたよパト○ッシュ・・・


「ただいま・・・」

「名無しさん!!こんな時間まで何して・・・どうしたのそれ!?」

「お母さん!!お父さん!!みてみて、サイボーグ拾った!!」


イケメンサイボーグを見せる
すごく驚く両親


「ねー、壊れてるし私んちに置いとこうよ」

「も、元の場所に戻してきなさい!!もし動いたらどうするの!?」


普通家に置いとくなんて提案する人いないよな。でもかっこいいんだもん
壊れて動かなくても部屋にオブジェとして飾っときたい


「お父さん!!サイボーグだよ!!きっと未来の私がおくりこんできて以下略」

「・・・」


家の君主権である父に話をふる
あ、今日の晩御飯コロッケか。やった


「お父さん・・・今すぐ捨ててこさせ」

「かっこいいな」

「え」

「よし、名無しさんの部屋に飾っとくか!!サイボーグとか現代にほんとにあったんだなぁ」

「・・・・」


もう黙ってしまったお母様
私がこんな性格なの大体お父さんのせいなんだから私の提案はオーケーするはずだ


「と、とりあえず重い・・・」

「どれ、ソファの上にでも寝かせとくか」

「うい」


お父さんに協力してもらいソファの上に寝かせる
お母さんは頭を抱えている。ごめんね!バカな親子で!!





部屋着に着替え、晩御飯も食べたところでサイボーグを観察する
ふむぅ・・・ほんとイケメンだな


「お父さんこの両腕直せないの?」

「いや無理だろ。お父さんそんなハイスペックじゃない」



だよなぁ。日曜大工で直せるなんてもんじゃない
そもそも部品がないか


髪の毛を触ってみる
おぉ、フワフワしてる。てっきり人形みたいにゴワゴワしてるかと思った
次に、顔を覗き込んでみる

瞬間


パチッと目をあけた。サイボーグが
そのまま起き上がろうとして



ガツッ


「〜〜〜〜〜〜〜っ!?!?」

「!?」


思いっきり頭突きが・・・!!
ちくしょう!!金属だからめちゃくちゃ痛いじゃないか!!
石頭とクラスで尊敬されてるけどめっちゃ痛い


「・・・どこだここは」


喋った。喋れるタイプのサイボーグか
妙に人間ぽいな
お母さんが「ヒッ」とか怖がってるけど、バカな親子はワクワクしてます


「あ、ここ私んちです。大丈夫ですか?」

「あぁ。すまない」

「あの、質問いいですか?お兄さんサイボーグですよね?」

「お前、俺を知らないのか?」

「知ってるわけ・・・ハッ!!やっぱり未来の私がおくりこんで」

「何を言っている」


サイボーグの割には結構喋る。私が出会った(観た)ことのあるやつは喋らないか、「了解した」しか喋らない
ツッコミもできるということは人間の心を持っているっぽい


「そういえば・・・怪人はどうなった?他のヒーローが退治したのか」

「怪人?ヒーロー?・・・お兄さんやっぱなんかの撮影の人?」

「何バカなこと言ってるんだ。それに・・・災害レベル鬼だったんだぞ。お前等は逃げなかったのか?」

「災害レベル鬼?」


この人(?)の言ってることが理解できないよ・・・!!災害レベルとか震度とかですかね。それかマグニチュード


「はぁ・・・もういい」


そういって玄関のほうへ行ってしまう。えぇ!?帰っちゃうの!?私のオブジェ・・・!!
まぁ、サイボーグには帰る場所があるらしい。それはよかった


「世話になったな」


出て行こうとするけど両腕がないので、ドアノブがまわせず玄関の前にたちつくしている
しょうがない、開けてやろう


「すまない、ありがとう」

「いえいえ」


外に出た瞬間サイボーグさんはギョッとしてあたりを見回していた


「おい、ここはなに市だ?」

「ここは・・・」


特に目立つ名産品もないとこだよ!!しいて言えば田んぼが多いかな


「聞いたことない・・・どこだここは」



迷子かよ。イケメンなのに迷子。ギャップ萌え


とりあえず、家に上がってもらった
迷子らしい、と言ったらじゃあ調べてあげるとお父さんが


「住所はわかる?」

「Z市だ」

「Z市?」


どうしたこのサイボーグさん
そんな異世界からきたみたいな


「お前等はほんとに何者なんだ?怪人もヒーローも知らないとは・・・」

「いやいや、私達からしたらあなたのほうが何者って言いたいんですけど」

「俺はジェノスだ」

「私は名無しさんです。こちらは父の・・・ていや、そうじゃなくて。とりあえずその怪人やらヒーローやらの話詳しく」
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