短編3

□せ〜かいに〜
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※貴方(怪人ちゃん)が死んでます
※葬式や墓などは適当です。


ヒーローから、注目され、恐れられ、撃退され、そして……好かれた最強の怪人が一人死んだ。
最強という名に泥を塗るような最期だった。
最期の姿は、ベッドに横たわり、喋れず、液体に生かされている姿だった。
最強の怪人が勝てなかったものは何か。
それは、身体を侵食する病だった。
誰にも知られず入院していた彼女は、独りぼっちで最後を迎えた。
ヒーロー達は茫然とし、その骸を眺めた。
棺桶に入った名無しさんの顔が、ただ寝ているだけだと錯覚させる。
土に埋められていく。
そして、雨が降る。雨が地に強く叩いても土を埋める手は止まらない。
ヒーロー達も、誰一人傘を差さない。
それは顔を隠すためか、それともこの現状を夢だと思っているのか。


「ふん。貴様に相応しい最期だな」


涙を流すことができない、サイボーグの少年が言った。
コアが痛む。
あぁ、この痛みは覚えている。
家族を失った時の痛み。大切な人を失うときの痛みを、またしても感じるとは。
家族を失った時は、狂サイボーグへの復讐を目標に、痛みを和らげることができた。
しかし、復讐相手がいない時はどうしたらいいのだろう?
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