短編3

□【とある世界で、
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※オリジナル監督生。気持ち男装。
※夢要素薄い(というか夢ではない)
※というかほぼキャラ出てこない
※結構暗め


俺は、異世界から来たというオンボロ寮の監督生が怖かった。
何が怖いって、それは勿論あの寮長達に盾つく事や、面倒ごとに巻き込まれる事。
それはある意味恐い事ではある。
しかし、俺が言いたいのはそういう事ではないのだ。
確かに、監督生はこの世界には似合わないようないい奴である。
人を放って置けないし、頼まれごとも断れない。

アリスのように、好奇心旺盛で
シンバのように、勇敢で
アリエルのように、明るく
ジャスミンのように、流されず
白雪姫のように、慈愛に満ち
ヘラクレスのように、強く
オーロラ姫のように、周りに助けてくれる人がいて

俺達のようなヴィランとは程遠い、いい奴だ。 
では、どこが恐いのだろう?
あぁ、あれだ。たまに見せるあの表情。あの発言。
つい、最近で言えばスカラビアのジャミル・バイパーがオーバーブロットした。
理由は、幼い頃からカリム・アルアジームの従者として全てを我慢していた。
簡単に言えば、その我慢が溢れ出してしまったのだろう。
この学園は、ろくな事を考えない奴が多いがジャミル・バイパーはその中でもトップクラスにも入る。
目的は、カリム・アルアジームを寮長の座から引き下ろしあわよくば学園からも追放しようとしていたとか。
彼のユニーク魔法、「蛇のいざない」は他人をマインドコントロールする。
このユニーク魔法でカリム・アルアジームや他の寮生を支配していたということだ。
ただでさえ他人の精神を操作する魔法は恐ろしいのに、頭がいい奴が使うとはもっと恐ろしい。
途中まで上手くいっていたジャミル・バイパーの目論見は、見事オクタヴィネル寮の奴らと監督生により破壊された。
皆が、ジャミル・バイパーを心配している中
監督生は何て言ったと思う?


「もっと上手くやれたと思いますよ」


そう、ボソリと言ったんだ。
いつもと変わらない顔で、声で。
周囲は聞こえていなかったのか、後片付けすらしている。
もっと上手くやれた?
何を言ってるんだアイツは!?
スカラビアがこんな目に遭っているんだぞ!?
のどが絞まる。
その言葉は、ジャミル・バイパーの行いを応援した物ではない。
もっと、こう──。


「おーい、お前も手伝ってくれ」

「あ、あぁ。今行く」


片付けの時も、なるべく監督生に近づかないようにした。
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