ご趣味は何ですか?

□一発目
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殴られる感触、痛いという感覚。
あぁ、全てが久しぶりだ。
これが俺の求めていたもの。
楽しくて楽しくてしょうがない。


「ハァ……ハァ……こんな強い人、初めて、ですよっ……!!」

「へへ……俺もだ……!!」


お互いに息があがっている。
血を出したのも久々で、自分で流した血を嬉しそうに見つめた。
サイタマは、チラリと残っていた時計台に目をやる。
楽しいが、そろそろキメなくてはならない。
次で、決着をつける……!


必殺、マジシリーズ

マジパンチ


「おっと」


彼女は避けたが、余裕があったわけではないようで。
拳は仮面をこすっていた。
はらりと落ちる仮面。


「は? ……人間?」

「あっちゃー……」


彼女の仮面の下は、普通の人間だった。
どこも異変などしていない、本当にそこらへんにいそうな女性。
とても怪人には見えなかった。


「え……お前マジで何者?」

「趣味で怪人をやっているものですよ。あなたと同じように」


彼女は顔を見られたのがまずいのか、顔に手を当てて困った顔をした。


「おっと、私時間なので行きますね」

「え、おい待てよ!!」


駄目だ。こんな強い奴もう二度と会えないかもしれない。
もっと俺と戦ってほしい。
せっかく求めていたものをみつけたんだ。
ここで別れるのは、絶対に駄目だ。
そう思っていると彼女は既に数百メートル先にいた。
咄嗟にこの場で叫ぶ。


「また会えんのか!?」

「会えますよ。あなたがヒーローをやっている限りは」


そう笑って、気絶した怪人をつれてどっかへいってしまった。
確信はないが、彼女とはまた会えるような気がしたのだ。


「っと、俺も行かねーと」


スーパーの特売まであと少しであった。
上機嫌な足取りで、サイタマはスーパーへ向かうのであった。
次は、いつ彼女と会えるだろうか。


「あ」

「えっ」


サイタマも彼女も驚く。
まさかお互い、こんなにすぐに会えるとは想像できただろうか。
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