儚い物語

□GOOD BYE 夏男
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とにかくあの頃は必死だった
だからあの子の事を知ってるようで
知らなかったんだ。


「ねぇタイガーついてくるなら邪魔しないでぇよ?」

「いや、邪魔してねぇじゃん?」

双子の妹のねるが図書館に行くと
言うのでついてきた。

「何いっとぉと?この前、邪魔してきたっちゃね」

妹は長崎のばあちゃんの家で暮らしてて最近ひょいっとこっちに帰って来たばっかで方言が全然抜けなかった。

「いいじゃん別にさ〜心配してついてきてるんだから」

「何が心配と?」

「ねるが迷子にならないかな〜とかさ」

「ならんけん!ねるはそんな子供やなか!」

「いやいや俺からしてみれば、ねるは昔と変わってないよ。オヤジと母ちゃん亡くなる前と変わってない。何か安心したよ」

「そういうタイガーは変わったんじゃなか?ねるについて来るんもあの図書館の受付にいる子が目当てやろ?」

「なっ、ちげぇからねるが心配だからだよ」

「はいはい、嘘つかんでええからまたあの子と仲良く話してきたらよかばい」

いくら双子だからって勘良すぎだってぇの

とにかく真面目なあの子には自分も真面目に話掛けなければと必死になっていた。
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