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□“おめでとう”
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「はぁ〜ぁ……」


最近與儀のやつ、毎日ため息ばっかついてやがる。
仮にも恋人である、俺の前でもずっとため息ばっか。
そんなにつまらないならここに来なければいいじゃねぇか。

しかも、ため息つく度にチラチラとこっちを見てくるし……言いたいことがあるならはっきり言えよ。

だから俺は、コイツが話しかけてくるまで無視していようと思う。


「……はぁ〜……」


だか、こんな感じのがもう2週間ぐらい続いていたので、さすがに腹が立ってくる。ガキか、コイツは。


「………………」

「……はぁ〜……」

「……………………」

「…っ……はぁ〜ぁ……」

「…………………………」

「っっ…はぁ〜っ……」

「………………………………」


「……〜っもう!ちよっとは構ってよぉ!!」



いや、むしろ構ってくれなかったのそっちじゃねぇのかよ、とは言わないでおく。


「……なんだよ。」

「いや……ちょっと、ね。」


なんでコイツはさっさと言わねぇんだよ。うぜぇ。
無視してようかな。聞くのもめんどくさくなってきた。

よし、部屋に戻ろう


「わあああっ!!待って待って!!!」


「…なんだよ。」


「あのね、花礫くん、誕生日……だったでしょ?……でも、いろいろ忙しくて、祝えなかったから…ごめんね?」


コイツ、そんなこと気にしてたのか。
別に気にしてねぇのに。


「……與儀」


「な、なに?」


普段は絶対自分からしないけど、今日は特別。俺から抱きついてやった。


「が、がが花礫くん?!ど、うしたの?」


「……俺は、お前が忙しいこと知ってる。だから、別に気にしてない。……そりゃあ、少し残念だったけど…でも、大丈夫。ちゃんと、わかってる……」


「…花礫くん」


恥ずかしいことを言ってしまった気がする。
與儀の顔が見れない。

胸に顔を埋める。
そうしたら、與儀が強く抱きしめてきた。


「…ありがとう。今更になるけど……



お誕生日おめでとう、花礫くん。」


そう言って、髪の毛にキスをされた。


「……ん。」



俺も強く抱きしめ返した。



誕生日はもう終わってしまったけど、



こんな“おめでとう”もいいかもしれない。




→あとがき
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