【番外編】

□【柳原学園】やっぱカッケェっす!!
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俺には納得いかないことがある。
御子柴さんに憧れて風紀委員に入った俺はイライラしながらC棟の廊下を歩いていた。


「生徒会長め…っ!」


そう、俺の苛立ちの矛先は柳原学園のクッソムカつく俺様生徒会長に向かっていた。
御子柴さんと生徒会長の犬猿の仲っぷりは有名で、顔を合わせれば言い合いをする姿を俺自身何度も見て来た。
御子柴さんは強くてでもそれを鼻に掛けずに風紀委員長の仕事もきっちりするカッケェ人だ。
なのに生徒会長はいつもいつも不満を言ったり上から目線で御子柴さんを馬鹿にする。
それが納得いかなくて腹立たしい。
そんなことを考えていると何というタイミングか、当の生徒会長が前を一人で歩いていた。


「おい、生徒会長!!」


俺は思わず呼び止めた。
不満をぶちまけてやろうと思ったからだ。
生徒会長は足を止めて後ろを振り返る。
くそ…やっぱ近くで見ると顔だけは良いな、顔だけは!!


「おい、とはご挨拶だな、風紀」
「うっせぇ! お前いつもいつも御子柴さんを馬鹿にしやがってふざけんな!!」
「…御子柴?」


御子柴さんの名前を聞いただけでピクリと生徒会長の眉が動いた。
名前だけでもムカつくってかこの野郎…っ。


「御子柴さんはなぁ! 強ぇしカッケェし、舎弟にも平等ですげぇ人なんだぞ! 何が不満なんだよ!!」


ぜーぜー、と息を荒げてキッと睨む。
ふん、どーだ、言ってやったぞ。
生徒会長は黙ってじっと俺を見て来た。
そしてフッと口の端を上げる。


「な、何だよコノヤロー…」
「いや? 俺に向かってよく言えたモンだと思ってな」
「脅しても撤回しねぇぞ、俺は!」


ちょっと怖…くない、全然怖くないぞ!!
そんな俺を見て生徒会長はクッと喉を鳴らした。


「まぁ、テメェの言葉はしっかり聞いた。今は忙しいから俺は行く」
「なっ、逃げんのかっ!」


挑発してみたけど、生徒会長はそのまま踵を返して去ってしまった。


「くそっ、何だよムカつく…」


俺は苛立ちとはどこか違うモヤモヤしたものを抱えて風紀室へと戻った。




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