【聖条学園】

□第一章
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☆☆


こんにちは、如月 蓮でっす☆
生まれてこのかた十五年、平凡な生活は…うん、まぁ、送ってないけど、でも高校では平凡顔を活かして目立たず生活しようと思っていたのにどういうわけか……。


「アイツいた!?」
「いない、逃げられた!」
「逃げ足速いだけの平凡のクセに、生徒会の皆様に近付くなんて…っ」
「あっち捜してみよう!」
「見つけたらただじゃおかないんだから、如月 蓮…っ!!」


俺は息を潜めて木の影に身を隠し、遠ざかる足音にほっとした。
この前の食堂の件から生徒会の親衛隊に襲われるようになっちゃいました、テヘ☆
…ウザいテンションはここまでにして、どうしようかね本当。
人気だっての忘れて普通に話してたのが馴れ馴れしいと皆様の目には映ったようで。
しかも木下先輩に、無意識に玉子焼きをアーンさせてしまったし。
そりゃ貴志もバカって言うのは当然だし、健太が嘘をついてまで俺を食堂から出させたのも頷ける話だ。
靴箱と机は、貴志に花を渡す唯一の手段だから貴志の親衛隊の奴らが死守してくれてるみたい。
感謝したいけど複雑だ。
でも上からは黒板消しやら水やらが降ってくるわ体育の球技では俺を集中攻撃、昼休みは追いかけっこや呼び出し、様々な画策をしてくる。
今は昼休みだから、親衛隊の皆様と一方的な追いかけっこをしてるわけだ。
生徒会の親衛隊の奴らは貴志や健太を気にしていないのか、俺のとばっちりを受けそうになったこともある。
俺はともかく、二人に何かあったらどうすんだ。
俺は身を隠すべく木々の中へと足を進める。
落ち着けるとこが良い。
最近休める時がほとんどない。


「……お?」


結構歩くと段々視界が開けてきて更に足を踏み出すと、木漏れ日の射す場所に出た。
なんつーか…神聖、って感じだな。
ここならアイツらにも簡単には見つからなさそうだ。
よいしょ、と俺は地面に座った。
さわさわと、さっきまでの喧騒が嘘みたいに木々が静かに鳴く。
あー、良い天気ー…。
俺はつい眠気に襲われた。
走りっぱなしだったから疲れたのかな。
木に寄りかかって上を見上げる。
木々の隙間から雲一つない空が、広がっていた。
俺はスッ、と手を空に掲げる。
昔…昔も、俺はこうして空に焦がれていた。
感情を捨てた俺だったけど、それだけは無くならなかった。
そして自由を取り戻してくれたのは、あの人だった。


「───ソラさん……」


あぁ、何だか無性に会いたいよ。
ストンと手が地に落ち、ゆっくりと瞼を閉じた。




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