【霞桜学園】

□第二章
1ページ/25ページ



鷹宮中学。
ここは、あまりにも有名な中学校であった。
不良8割、一般学生2割。
一般学生が不良に絡まれることなど日常茶飯事で、不良にパシられる姿はよく目にされていた。
教師も不良に対して恐怖を抱いたり諦めたりと、誰一人として真剣に向き合おうとはしなかった。

このような中学校に行きたいと思う生徒はあまり居らず、進学区域の学生は殆どが中学受験をして他校へ通う。
そのため、鷹宮中学に通うのは不良か受験に失敗した学生か、何も考えなかった者。
神山司は、この三番目に当てはまる生徒であった。

医者を両親に持ち、一つ下の弟がいる司は、幼い頃より向上心が高く、それに伴い家族以外の他者への関心が全くと言って良いほどなかった。
それ故に、勉学、武道をやり込み文武両道と言えば神山司と名前が出る頃には、司に友人は居らず孤立してしまっていた。

しかし他人への関心が希薄な司は全く気にせずそのまま鷹宮中学へ進学。
どんな環境であれ自分を高められれば良いと思っていた彼は、今まで通り周囲を気にせず過ごそうとした。
しかしそれを許さなかったのが不良である。
いじったことのない黒い髪に、成長期前の身体、大人しそうな外見であった彼は格好の的であったのだ。

そんな不良たちを何とか流しつつ学校生活を送ってきたのだが、ある日唐突に思い立った。
よし、学校改革をしよう──、と。
流石の司も面倒臭さが極まったのである。
コンビニ行くかとでも言うように気軽に決められた学校改革。
他者に興味のない彼はその中で、己の全てを塗り替えるような出会いを果たす。


『お前が、鷹宮を変えてくれるのか…?』
『本当に、俺らを助けてくれるの?』



彼はその想いを、誰にも語ったことはない。



.
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ