【終わらない物語】

□【狐と影】第一章
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「お前ら楽しそうなことしてんじゃねーか」
「あ、雅人。おはよー」
「あぁ、お早う吉野…と中原」
「ついでで言ってるのが丸分かりなんだよ、野崎」
「実際ついでなもんで」


Myフレンドその2、野崎 雅人がご登校。
あぁん? と早速二人は不良全開でお互いガンを付けまくる。
あ、因みに不良不良言ってるけど、俺は五月現在二人がガチ喧嘩してるのを見たことがありません。
強いんだろうなーってのは分かるけど、実のところよく分からないんだよな。
あ、胸ぐら掴み始めた。
流石に止めてあげようじゃないか、この俺が。


「本当は仲良しのクセに、二人とも照れ屋さんなんだから〜」
「「止めろ!!」」


ゾワッとしたように腕をさすりながらハモった。
ふざけ半分で言った俺も俺だけど、それにしてもそんな気持ち悪いのかよ…。


「まったまた〜。お前ら二人だけで時々階段下で喋ってんの知ってるんだぞ、俺」


立ち聞きの趣味は無いから見ただけだけどさ、と付け加えた。
俺は剣斗の数学課題を写しながら言ったから、気付かなかったんだ。
剣斗と雅人が真剣な表情で目を見開いたのに。


「……何だ、嫉妬か? 吉野」
「は、はぁ!? 違うし、馬鹿じゃねぇの!?」
「安心しろ、咲夜。野崎のバカとはそういうんじゃねーから」
「誰がバカだゴルァ」
「テメェだよ」
「オモテ出ろ。勝負着けんぞ」


あー、また雲行き怪しくなってきた。
コイツら見てると、俺のチームの人たちって意外と温和だったんだなぁ、って思う。
剣斗も立ち上がったし…マジでおっ始める気か。


「一匹狼風情が俺に勝てると思ってんのか、野崎」
「テメェこそサル山の大将気取ってんなよ、中原」


一匹狼とかサル山の大将とか意味分からんし。
ってか、イライラしてきた。
だってさ、コイツら俺を挟んで言い合いしやがってんだよ!!


「あーもーうっさい!! 今課題写してんだから静かにしろよ!」
「へぇー、課題写してるんだー、吉野クン。しかも数学だねー」


突然入ってきた声に、俺はピシリと固まる。
ノートから恐る恐る顔を上げてみると、そこにはメガネの爽やかな笑みを浮かべた人。
俺はひきつった頬を精一杯笑顔に変える。


「お、お早う、ございまぁす……センセー」
「お早う吉野。ちょっと数学教官室、来よっか」


あぁぁぁぁぁ!!
よりにもよって、数学担当且つ担任の竹下 尚哉先生に聞かれるなんて!!
ズルズルと引っ張られる俺に、中原と野崎は。


「「……いってらっしゃい」」


こッの裏切り者共が!!
苦笑というか半笑いの友達二人に見送られ、俺はセンセーに引っ張られていった。



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